東京電力は福島第一原発1号機の原子炉建屋カバー設置のための準備工事を13日から開始する。このカバーは、原子炉建屋から放出される放射性物質の飛散を抑制するためのもので、4月17日の工程表の中に記載された対策の一つ。
本工事では爆発で屋上が破壊された1号機原子炉建屋全体を鉄骨で骨組みを作り、約1万平方mのポリエステル繊維のカバーで全体を覆う。あらかじめ組みあげた鉄骨ユニットを大型重機(クローラクレーン)で運搬して、カバーを組み立てていく。
13日から開始するのはその準備工事で「発電所構内に持ち込む大型重機が走行するための道路の整備や、鉄骨を仮置きする場所(物揚げ場)の整地などを行う」(東電原子力・立地本部の松本純一本部長代理)
完成すると、南北方向に47m、東西方向に42m、高さ55mの立方体のテント状になる。鉄骨を組み終わった後に設置作業員がシートを張るより、大型重機で一気に組みあげるほうが、作業員の被曝放射線量を低減し、作業効率を上げる効果がある。
カバー本体の設置工事は、早ければ6月から着手するが、細野豪志首相補佐官は、こう含みを残す。
「1号機は冷却は進んでいるが、予断を許さない。想定しているより水の量が少なく、炉心の溶融の程度が高いということが明らかになっている。冷却機能の回復、水処理に支障がないことを確認した上で本工事に着手したい」