ポルシェは10日、デトロイトモーターショーにおいて、「918RSR」を初公開した。ハイブリッドスーパーカーの市販を前に、モータースポーツでの実績を積む目的で開発されたレース専用車だ。
918RSRのベースは、ポルシェが2010年3月のジュネーブモーターショーに出品したハイブリッドスーパーカーコンセプト、『918スパイダーコンセプト』。918RSRでは、オープンボディをクーペ化するなど、市販を意識した仕様とされた。
そのデザインには、ルマン24時間耐久レースにおけるポルシェの栄光を再現。1969年の「908ロングテールクーペ」、1971年の「917ショートテールクーペ」といった歴史に名を刻んだマシンが、デザインモチーフに起用された。大型リアウィングなど、空力面の改良も施されている。
ハイブリッドパワートレインは、918スパイダーコンセプトの発展形だ。ミッドに置かれるエンジンは、競技車両の『RSスパイダー』をルーツとする3.4リットルV型8気筒ガソリンを直噴化したもので、最大出力563psを1万0300rpmという高回転域で発生する。
918RSRはエンジンが後輪、モーターが前輪を駆動する4WD。前輪左右には、最大出力102psを引き出すモーターを搭載。2個のモーターを合わせた出力は204psとなり、エンジンとのトータル出力は767psと、非常にパワフルだ。
市販のハイブリッド車と異なるのは、バッテリー(2次電池)を搭載しない点だ。2次電池の代わりに、電気式の「フライホイールジェネレーター」を助手席部分にレイアウト。これは減速時にモーターが回生ブレーキの役目を果たし、フライホイールジェネレーターを最大3万6000rpmまで回して、電力を蓄えるシステムだ。
この電力は、ステアリングホイールのスイッチ操作によって、約8秒間引き出すことが可能。追い越しなどの加速が必要な時、モーターがエンジンパワーをアシストする。レース専用車の「911GT3 Rハイブリッド」のノウハウが生かされた部分だ。
トランスミッションは、RSスパイダー用がベースの6速シーケンシャル。ボディはCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)を使用して、軽量に仕上げられる。
ポルシェは公式発表していないが、栄光のゼッケン「22」(かつてのルマン優勝マシン)に見られるように、918RSRが何らかのモータースポーツ参戦を想定しているのは明らか。モータースポーツで得たノウハウを、来るべくハイブリッドスーパーカーの市販に応用する計画だろう。