インターメタリックスと東北大学の杉本諭教授らは、ネオジム焼結磁石の結晶粒子のサイズを小さくすることで保磁力を向上、ジスプロシウムの使用量を従来よりも約40%削減することに成功したと発表した。
この研究成果は、レアアース(希土類)の一種で高性能磁石の製造に必要なジスプロシウムの使用量を低減させる技術開発に取り組んでいる新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「希少金属代替材料開発プロジェクト」の一環として取り組んできたもの。今後、プロジェクトの目標である保磁力250キロエルステッドの実現を目指すとともに、量産化に向けてた検討も進める。
プロジェクトには東北大学、山形大学、物質・材料研究機構、日本原子力研究開発機構、三徳、インターメタリックス、TDK、トヨタ自動車が参加している。
ネオジム磁石は、ハイブリッドカーのモータやエアコンモータなどの高性能化に必要な最も強い永久磁石材料。このネオジム磁石は、耐熱性を向上させるため、ジスプロシウム(Dy)を添加する。
ネオジム磁石はレアアース元素が約30%含まれており、このうちネオジムなどの軽希土類は世界に2000万t存在するが、その3分の1はレアアースの出荷を制限している中国が占める。さらに、重希土類のひとつであるDyは、中国のイオン吸着鉱にほぼ100%依存していることなどから、調達先の分散や使用量の削減が大きな課題となっている。
インターメタリックスは今回、ネオジム磁石の結晶粒を微細化することで、Dyを使わずに耐熱性を向上させる技術を開発した。保磁力20キロエルステッド、最大エネルギー積48メガガウスエルステッドを達成した。これによって従来必要だったジスプロシウム量を40%程度削減できる見込み。