泥酔運転でひき逃げ、知人に身代わり求めた男に実刑判決

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今年2月、福岡県福岡市東区内で飲酒運転中にひき逃げ事故を起こし、知人に身代わり出頭を求めたとして、危険運転致傷や犯人隠避教唆などの罪に問われた43歳の男に対する判決公判が11月29日、福岡地裁で開かれた。裁判所は懲役2年6か月の実刑を命じている。

問題の事故は2010年2月5日の午後11時55分ごろ発生した。福岡市東区箱崎1丁目付近の県道を走行していた乗用車に対し、赤信号を無視して進行してきた別の乗用車が出会い頭に衝突。27歳の女性と6歳の男児が軽傷を負ったが、信号を無視したクルマはそのまま逃走した。

警察はひき逃げ事件として捜査を開始。事故から約2時間後に「知人が自分のクルマで事故を起こしたらしい」と通報してきた42歳(当時)の男を容疑者と断定。男は泥酔状態だったが、アルコール検知を拒否して暴れたため、暴行の現行犯で同日に逮捕。事故から2週間後に危険運転致傷と道路交通法(ひき逃げ)違反容疑で再逮捕し、同容疑で送検している。

しかし、福岡地検は「男が運転していたと特定できる証拠がない」と判断。嫌疑不十分を理由に3月29日付けで不起訴処分を決定したが、これを不服とした被害者側は今年6月に検察審査会へ異議申し立てを行っていた。この直後、別の検察官が再捜査を開始。この捜査の過程で「事故直後に男が知人へ金銭を渡し、身代わり出頭を要請したことが明らかになった」として、男を犯人隠避教唆容疑で7月に逮捕。後に危険運転致傷や道交法違反も加えて起訴している。

11月29日に開かれた判決公判で、福岡地裁の鈴嶋晋一裁判官は「被告は飲酒運転の発覚を恐れ、現場から逃走した」と認定。容疑車両の運転席から採取した血痕のDNAが被告のものと合致したことから「事故当時にクルマを運転していたのは被告本人である」とした。

その上で裁判官は「被告は相当量の酒を飲んでいたにもかかわらずクルマを運転し、本件事故を起こした。さらに重大な事故を起こす可能性があっただけではなく、知人に身代わり出頭を要請するなど、犯行は極めて悪質」として、被告に対して懲役2年6か月の実刑判決を言い渡している。

《石田真一》

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