ロサンゼルスモーターショーでは日本車メーカーによるEV発表が相次いでいる。会場はまるで「日本車EV祭り」の様相だ。その背景を探った。
日産が『リーフ』市販仕様を世界初発表したのを皮切りに、トヨタは資本提携した電気自動車ベンチャー企業のテスラ社と共同開発した“powerd by TESLA”の『RAV4 EVプロトタイプ』を大々的に発表、ホンダは『フィットEV プロトタイプ』を発表、そして三菱は北米仕様『i-MiEV』を発表、と日本車メーカーのEV発表が活況を呈しているロサンゼルスモーターショー。アメリカのメーカーからの大きな世界初披露がなかったこともあり、相対的に日本車メーカーの動きが目立つ。
少し前までのロサンゼルスモーターショーが「あくまで地方ショーで出展者が地元ディーラーだったブースもあった」とは信じられないくらい、今年は日本メーカーが力を入れていた。日本からはホンダの伊東孝紳社長やスバルの森郁夫社長も駆けつけて社長スピーチを行ったほどである。なぜ日本メーカーが積極的だったのか?
理由のひとつとして「デトロイトモーターショー(ロサンゼルスモーターショーの2か月後に開催)からのシフト」が考えられる。
アメリカ三大メーカーのお膝元であるデトロイトショーは、やはり「主人」であるアメリカメーカーに遠慮している面があり、その点ロサンゼルスショーでは「アメリカメーカーに大きく気を遣うこともなく伸び伸びとショーに参加できる感覚」というのが多く聞こえる声。
結果として日欧の自動車メーカーの心は、デトロイトから離れてロサンゼルスに軸足を移しつつあるのだ。
対照的にアメリカメーカーからの大物発表がなかったのは、彼らはデトロイトモーターショーのために大物を2か月後まで温存しておく必要があるからである。
もうひとつ気になるのは、なぜロサンゼルスでEVの発表が重なったのかということ。実は、カリフォルニア州は過去に大気汚染に悩まされたことから州政府が環境改善に対して積極的に活動している。
全米でもっとも厳しい環境規制が2012年からさらに強化されることが決まっており、EVをアピールするには最高の場所なのだ。だから、EVを積極的に持ち込んだのである。ただし、現地の一般市民には「EVはまだまだ先の乗り物」という意識も根強く、ショーでのEV祭りの熱気が一般市民レベルまで届くのかは未知数だ。