アイシン精機は、車車間通信用アンテナの開発に着手している。2012年7月に、これまでアナログ放送に割り当てられていた700メガヘルツ帯の周波数がクルマ向けに割り当てられる。同社は車載用通信技術の根幹を担うアンテナ技術を磨き、新たな事業分野の構築につなげる。
アイシン精機といえば、ABSシステムやトランスミッションといったメカ系製品が主力だが、今後は電波や信号処理といった通信系製品の拡充を進める。
同社がITS世界会議に展示したのは車載用アンテナ。従来のアンテナは電波を受信しなければならない性質上、形は棒状で、製品から突出するデザインが主だった。同社が開発中のアンテナは、金属の板で電波をキャッチする。面で電波を受信できるため、デザインの自由度が増す。特にクルマのデザインでは、アンテナをいかに収納するかということが課題の一つとなっており、今後一定の需要が見込まれる。
同社では、開発中アンテナを、フロントガラスやピラーに内蔵することを検討しているという。
なお、ホンダの『CR-Z』や一部の高級車種ではすでに棒状ではなく、金属板を用いたアンテナが純正搭載されている。これは「シャークフィンアンテナ」などと呼ばれるもの。デザイン性に優れていることから、カー用品店でも同様の製品が販売されており、後付けすることも可能となっている。
今後、クルマが取得すべき情報量は増大する。移動体であるクルマのアンテナ技術は、安全な走行を支え、クルマの次世代化を支える技術となる。