チャイルドシート(以下、CRSと表記)の装着が義務化されて10年が経過したが、日本自動車連盟(JAF)によると、着用率は約57%に留まるという。クルマへの乗車時、CRSを常時使うというユーザーはその半分程度になると推測されている。
CRSメーカーのアップリカがユーザーを対象に行ったアンケートでは、CRSを常時使用しない理由として「子供が嫌がるから使わない」を掲げる人がトップだった。
ただし、この「使わない」についてもさらに細分化されており、「ご近所乗りの場合には使わない」とする人が大半のようだ。「近所への買い物など、短距離走行がメインであり、比較的低速で気をつけて運転すれば事故に遭わない」という根拠の無い伝説が母親に横行しているためとみられる。
だが、リアルステージの事故で見れば「事故に遭遇する確率が高いのは長距離ドライブではなく、自宅近辺での短距離走行」であり、事故形態も「走行時の正面衝突ではなく、信号待ちで停車している際に受ける追突被害の方が多い」というデータがある。
CRSのユーザーは「CRSが子供の命を守るために必要」と認識しているにもかかわらず、自宅の近所というだけで危険度を軽視してしまう。「本当に危ないのは自宅の近所であり、ちょっと乗るときこそCRSを使う」ということの徹底が必要だ。