【ホンダ CR-Z 試乗】若者のクルマ離れに一石を投じる…藤島知子

試乗記 国産車
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ワイドで低く構えたスタンスは迫力満点のスタイリング。車内は低い着座姿勢となる前席主体のレイアウトとなっている。計器類に囲まれたドライバーズシートはコックピット感も満点で、スポーツカーそのものである。

スポーツモデルは往々にして見晴らしが悪く、死角を諦めざるを得ないものが多いが、『CR-Z』はそれらをフォローする工夫が見受けられる。ホンダ史上最大の曲率をもつフロントウインドウは、Aピラーが手前に引かれ、右左折のさいに斜め前方の障害物が確認しやすく、オプション設定のリヤカメラは、180度のワイドな後方視界を確保する。

また、MT仕様はクラッチが軽く、エンジンは低回転のトルクに厚みを持たせていて、初心者でも扱いやすい。CVTであっても存分に走りが満喫できることも、スポーツカーをもっと身近に感じさせてくれることだろう。

新車で手が届く価格帯にある「走って楽しいモデル」が絶滅の危機にあるなかで、こうしたスポーツクーペを現実的な価格帯で打ち出したことは、若者のクルマ離れに一石を投じた意義深いものだと思う。

現に購入層は20代が15%を占め、全体のMT率も4割という近年まれに見る数値が、その事実を物語っている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

藤島知子|モータージャーナリスト
幼い頃からのクルマ好きが高じて、2002年からワンメイクレースに挑戦。市販車からフォーミュラカーに至るまで、ジャンルを問わず、さまざまなレースに参加している。2007年にはマツダロードスターレースで女性初のクラス優勝を獲得した経験をもつ。現在はクルマの楽しさを多くの人に伝えようと、自動車専門誌、一般誌、TV、WEB媒体を通じて活動中。走り好きの目線と女性の目線の両方向から、カーライフ全般をサポートしている。

《藤島知子》

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