2010年IZODインディーカーシリーズ全17戦の開幕戦が14日、ブラジルのサンパウロで開催された。出走する24名中7名がブラジル人ドライバーで、うち4人がサンパウロの出身とあってサーキットには多くのレースファンが詰めかけた。
11のターンからなる2.536マイル(約4.081km)のストリートコースは、1マイル弱の長いバックストレートを有し、最高速度は180マイルにも達する高速サーキットだ。直前に行われていたカーニバル用の塗装を剥がした路面は非常に荒れて滑りやすく、プラクティスからフロントストレートでスピンを喫するマシンが続出。急遽、土曜日に予定されていた予選を日曜の決勝当日朝に順延しての路面補修作業が行われた。
迎えた予選ではシリーズのディフェンディングチャンピオン、ダリオ・フランケッティがポールポジションを獲得。注目の佐藤琢磨は10番手、武藤英紀は14番手からのスタートとなった。
スタートは予定時刻直前に降り出した雨の影響で定刻から遅れてのグリーンフラッグ。24台の高速マシンが路肩に溜まった砂塵を巻き上げながらフロントストレートを駆け抜けたが、コース上に白い煙幕が立ちこめる中、ファーストターン直前で佐藤琢磨がスコット・ディクソンと接触。体制を崩したディクソンのマシンにエリオ・カストロネベスが追突し、さらには後続のマルコ・アンドレッティ、マリオ・モラエスらも巻き込むアクシデントでレースは幕をあけた。
ディクソン、カストロネベスはマシン調整後レースに復帰したが、佐藤琢磨、アンドレッティ、モラエスはこのアクシデントによりリタイア。佐藤琢磨のインディデビュー戦はファーストターンで終了する悔しい結果となった。
波乱の幕開けとなったレースは、その後も激しく降り出した雨で赤旗中断。2時間ルールが適用され、61周に周回が短縮され、佐藤琢磨に続き武藤英紀もアクシデントでリタイアするなど、8台がリタイアする大荒れの展開となった。
厳しいレースを制したのはウィル・パワー。ライアン・ハンターレイが2位、ビトール・メイラが3位と若手中堅ドライバー達が健闘した。インディカーシリーズは、2週間後アメリカ本土へと舞台を移し、3月28日フロリダ州セントピーターズバーグで第2戦を迎える。
佐藤琢磨コメント:チームが素晴らしい仕事をしてくれ、今朝(の予選)はマシンが昨日までと比べると格段に良くなっておりラップタイムも大きく短縮できていた。それだけにこのスタートは本当に残念だ。おびただしいダストの中で集団になってターンに侵入し、アクシデントになってしまった。自分にとってのシリーズ初戦は良い想い出にはならなかったが、沢山学んだこともあったので、次戦を楽しみにしている。
武藤英紀コメント:残念な結果になった。6番手まで浮上していたのだが、マーブルにのって体制を崩しターン3を曲がりきることができなかった。僕があちこちにスライドしている間に他のマシンが続々とパスしていったが、ビトール・メイラに接触してしまった。これは僕の過失で申し訳なく思っている。気持ちを切り替え、次のセントピーターズバーグを良いレースウィークエンドとしたい。