トヨタ豊田社長、記者会見スピーチ全文

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豊田章男社長(17日・東京本社)
  • 豊田章男社長(17日・東京本社)

トヨタ自動車は17日、一連のリコールや改修に関する品質問題について東京本社で会見を開き、豊田章男社長、佐々木副社長らが国内リコールの進捗状況、品質向上についての具体的な展開について説明をおこなった。

以下に、豊田社長のスピーチ全文を掲載する。

豊田でございます。本日はお忙しいところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

先週末より『プリウス』の改修作業が始まり、私自身、いくつかの販売店にお邪魔してまいりました。お客様へのご案内が迅速に行われ、販売店での改修活動もスムースに行われていることが確認できました。私も、何人かのお客様に、直接、「お詫びとお礼」を申し上げた次第でございます。

プリウスの改修作業は急ピッチで進んでおり、国内の進捗状況といたしましては、ご予約をいただきました数も含めますと、既に100%改修の目途のたっている販売店もあると聞いております。この進捗の早さは、ひとえにお客様のご理解とご協力あってのものと考えております。この場をおかりしまして、お礼申し上げます。

また、本日の新聞広告でお知らせ申し上げましたが、『SAI』とレクサス『HS250h』つきまして、改修作業の準備が整いましたので、本日より、販売店からお客様へのご連絡を開始いたしました。

引き続き、メーカーと販売店が一丸となって、できる限り早く、お客様に安心してお乗りいただけるように、努力してまいります。

さて、昨年の秋以降、米国でのフロアマットの市場対応、アクセルペダルのリコール、そしてプリウスなどのリコールに際し、私どもといたしましては、1つ1つの対応策を一所懸命に実行してまいりましたが、その中で、学んだこと、反省すべきこともいくつかございました。それらを踏まえ、新たな活動にも着手しております。

リコールの判断は、従来より保安基準や法令に照らして行なっており、プリウスなどについては、より「お客様の安心」を優先させ、リコールの実施を迅速に決定することができました。今後も「お客様の安心」に重点を置いた対応を実施してまいります。

次に、懸念をもたれている技術やビジネスについてのご説明です。

現在米国では、トヨタ車の電子スロットル、すなわちアクセルペダルの電子信号によるスロットル開閉制御に関し、「誤作動による急加速」という懸念が報道を通じて広がってきております。

トヨタの電子スロットル制御システムには、多くのセンサーによる幾重(いくえ)ものフェールセーフシステムが組み込まれております。フェールセーフとは、システムに問題が発生した場合、安全な方向に動くという考え方です。電子スロットル制御システムに万が一、何らかのシステム異常が発生した場合でも、アイドリング、もしくはエンジンストップなどの状態に戻るよう制御されています。

「決して加速の方向に動くものではない」ということを、非常に厳しい電磁波、振動などの環境下において確認しております。

現在、外部の調査機関に、当社の電子スロットル制御に関する実証検査を行っていただいており、結果が出しだい、別途ご報告申し上げたいと思います。

私は、昨年6月に社長に就任して以来、ここ数年で、急激に拡大した生産・販売体制に鑑み、よりお客様に近いところで経営判断ができるようにと、「地域重視の経営」を進めてまいりました。お客様からのお声を、リコールなどの市場対応や研究・開発に活かしたいとの思いからであります。

さらにこれを加速するために、私がヘッドとなり、各地域の「Chief Quality Officer」が参画する「グローバル品質特別委員会」を立ち上げました。また、各地域のお客様のお声や品質情報を、より早く、品質本部・開発本部に伝え、改善に結びつける仕組みも強化いたしました。

車両に対しては、より一層安心してお乗りいただくために、「ブレーキ・オーバーライドシステム」を、今後世界で生産する全てのモデルに順次導入いたします。

このシステムは、ブレーキとアクセルの両方が踏まれた場合、ブレーキが優先されるというものです。

また、従来より搭載しているEDR、すなわち「イベント・データ・レコーダー」をより積極的に活用していきます。これは、私どもの情報収集能力をさらに強化すべく、車両内のデータ記録を分析することで、品質の向上に役立てるものです。

私といたしましては、従来通り販売・生産現場をまわり、全世界の販売店、サプライヤー、従業員とともに「品質・顧客第一のトヨタ」であることを念頭に取り組みを進めてまいりたいと思います。

今後ともご指導、ご支援のほど、よろしくお願い申しあげます。
どうもありがとうございました。

《宮崎壮人》

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