PSP『グランツーリスモ』レビュー…携帯ゲーム機用と敬遠するのはもったいない

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アルファロメオ155 2.5 V6 TI。突っ込んでよし、立ち上がりもよしで戦闘力が非常に高い
  • アルファロメオ155 2.5 V6 TI。突っ込んでよし、立ち上がりもよしで戦闘力が非常に高い
  • ホンダNSX Type R(02年型)。非常に旋回性が高く、コーナリングマシンの1台
  • サルト・サーキットのユノディエールを行く155 2.5 V6 TI。この直線、通常は一般道なのでうねりがすごい
  • 155 2.5 V6 TIは300km/hまでは出せないので、前走車のスリップストリームをうまく利用するのがコツ
  • こちらはニュルブルクリンク北コース。アップダウンがキツく、ブラインドコーナーも多いのでとても怖い
  • あまりジャンプスポットのあるロードコースはないのだが、ニュルならではの光景
  • ニュルの縁石はかなり立っているものが多く、中途半端に乗せようとすると吹っ飛ばされる
  • アドホック通信による対戦。速いプレイヤーにハンディをつけるルールも複数用意されている

発売から1か月半が経ち、多くのプレイヤーがクルマの収集台数と攻略サーキット数を増やしたのではないだろうか。

ソニー・コンピュータエンタテインメントの携帯ゲーム機PlayStation Portable用のリアルドライビングシミュレーター「グランツーリスモ」(UMD版税込み5440円/ダウンロード版税込み4400円)の話である。本作、PSP用なので寝っ転がっていようが、電車などで移動中だろうが、どこででも楽しめてしまうのもあるが、一度始めるとやめられなくなる作りになっており、かくいう記者もハマリ気味だ。

現在、ゲーム内時間は272日で、クルマの保有台数は536台(1車種で複数台持っているものもある)。収録車種数は830車種と発表されているので、さらにシークレットなものもあるのかもしれないが、6割以上は集まった形だ。

さすがにこれらすべてで走ったわけではないが、今のところ一番のお気に入りは、アルファロメオが93年のドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)に投入した「155 2.5 V6 TI」。420PSと4WDの恩恵で立ち上がりが鋭いところに持ってきて、車重がわずか1010kgでしかないためにブレーキング勝負もでき、さすがはレーシングカーという1台。しかも、1万回転以上の高回転型エンジンのサウンドがこれまたよくて、実に高揚させてくれるのだ。ただし、旋回性能的にはもう1台のお気に入りのホンダ「NSX Type R」(02年型)の方が上なので、サーキットとの相性などで2台を切り替えて使っている。

それにしてもPSPで830車種のクルマの違いを表現できるのか疑問に思う方もいることだろう。だが、車種はおろか、同じクルマでもタイヤの種類を変えた時に性能の違いがわかるほどで、「グランツーリスモ」の名に恥じない完成度となっているのだ。

それから、どうしても伝えておきたいのが、走りの迫力。本作、迫力という点も画面の小ささから、テレビ画面の据え置き型に比べると劣るだろうと思われがち。しかし、それを補って余るほどの見事な演出が施されている。そのひとつが、路面のうねりの影響を車体が受けた時の表現。特に、時速200km/hオーバー、さらには300km/hオーバーの超高速域に入ってくると、路面のちょっとしたうねりでもクルマが跳ねて激しいバウンシングを起こし、画面が縦にブレまくる。ステアリングをタイミング悪く切ると、吹っ飛びそうな不安定感が実に怖い。

また、200km/h前後から目立って聞こえてくるのが、地鳴りのような「ゴォ〜」とか「ザ〜」という風切り音。これまた迫力を醸し出すのに一役買っていて、バウンシングと相まって、「現実だったら一発ミスれば即あの世行きの狂気じみたスピードで走っている」感が見事に表現されているというわけである。

そんな「死と隣り合わせ」的な迫力を感じたい時は、まずルマン24時間のサルト(サルテ)・サーキットのオールドコース(ストレートにシケインを設けていなかった旧レイアウト)がオススメ。200km/h後半からそれ以上が出るレーシングカーやスーパーカーで走れば強烈な怖さを味わえる。約6kmのストレートでベタ踏みすれば、早々に250km/hを突破するはずだが、その頃にはこの速度域は明らかに「おかしい」と感じるようになるはずだ。そして300km/hに達した時には、「こんな速度でクルマ本当は走ってはいけない!」とわかるはずだ。

それから、ドイツのニュルブルクリンク・サーキット北コースも言わずもがなだがスゴイ。ほかの作品で走っている人も多いだろうが、本作のニュルはただ難しいだけではない。まるでサーキットそのものが敵意剥き出しで襲いかかって来るような感じが再現されているのだ。現実のニュルでは現在も年間数十人が事故死しているという話を聞くが、それがウソではないと実感できるほど恐ろしいサーキットなのである。この怖い感じをぜひ体験していただきたい。

その一方で、アドホック通信で最大4人まで対戦でき、ワイワイとパーティーゲーム的に楽しめてしまうのも本作の魅力。しかも、対戦はシングルプレイ時よりも賞金が高額に設定されているので、クルマの購入資金稼ぎにもオススメだ。

このように、スピードの怖さも含めたリアルさと、気楽に楽しめることの両方が同居しているのが本作の特徴。「携帯機用だから」などとなめて敬遠すると損すること確実なので、クルマ好きはぜひ手に取ってみてほしい。PSPがないという人は、本作UMD版とグランツーリスモ特別エディションのPSP-3000本体、2GBのメモリースティック、さらにはオリジナル仕様のストラップやPSPポーチなどまでセットになったオトクセット「GRAN TURISMO RACING PACK」(税込み価格2万2800円)もある。

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《デイビー日高》

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