富士スピードウェイ株式会社は7日、「2010年以降のF1日本GP開催中止」を発表した。こうなると注目されるのは鈴鹿サーキットの動向だ。
鈴鹿は今年10月、3年ぶり21回目のF1日本GPを開催することが決まっているが、その後は2011年、13年と、富士との隔年交互開催をする予定だった。果たして、西暦偶数年の日本GPはどうなる?
今回の決定に際して、富士の加藤裕明社長は、鈴鹿サーキットを運営する株式会社モビリティランドの大島裕志社長に「『お互いに頑張ろうと言っておきながら、申し訳ない』と、お詫びの連絡をしました」と言う。最近、モビリティランドの社長に就任した大島氏は、それまでホンダのモータースポーツ担当・常務執行役員を長く務めていた人物で、昨年末のホンダF1撤退会見でも主役のひとりだった。加藤社長の断腸の思いは、充分理解されたことだろうが……。
現段階で鈴鹿側からの正式なリアクションはないようだが、こうなった以上、日本のF1ファンとしては鈴鹿での連続開催に期待をかけたくなるのが当然の心理だ。
だが、現実は決して甘くない。会見で加藤社長も言及していたが、「F1は年間18戦前後と決まっているなかで、経済新興国の場合には、国を挙げて開催権を取りにくる例も少なくない」のが実状で、今季最終戦のアブダビGPなど、中東やアジアの“F1新興国”の進出が激しいのだ。
そのあおりも手伝って、伝統のフランスGPが消滅したり、英国のF1世界選手権発祥地シルバーストン・サーキットが開催権を喪失したり、常連だったカナダGPやサンマリノGPも消えていっているのが、近年の現実。
仮に鈴鹿サイドが毎年開催に意欲を見せたとしても、バーニー・エクレストン(F1界のボス)側が首を縦に振るとも限らないわけだ。
『富士が降りたから、鈴鹿で毎年』という結論に簡単に落ち着くとは思えない状況。日本のF1ファンはしばらくの間、やきもきすることになりそうだ。