イタリアで、信号機の点灯時間を操作し不正に反則金を課していた警察関係者ら109人が取り調べを受けていたことが、29日に明らかになった。
問題が明るみになった発端は、2007年末ミラノ郊外のセグラーテ市。市民からの「信号無視の反則金通知を受け取るドライバーが異常に多い」との通報をもとに、イタリア財務警察が調査に乗り出した。
その結果、地元交通行政を担当する都市警察が信号機業者などとともに、黄信号が3秒から短いものでは2.5秒になるよう改変し、赤信号で交差点に取り残された“違反車”を監視カメラで撮影していた。
調べによると、セグラーテ市がこの方法で摘発した交通違反は06年秋から07年春までに5万件にのぼった。同市内の信号は、改変した信号制御装置を捜査当局が押収し、監視カメラを撤去したことで、とりあえず元の状態に戻った。
しかしこの事件を契機に財務警察等が捜査を進めたところ、北部を中心にイタリア各地の自治体で同様の信号機改変が行なわれていたことが発覚。その数は今日までに約80市にのぼった。一部の市では、改変後の反則金収入が3倍に増えたところもあったという。
同時に、これまでにこうした信号機改変で都市警察官63人を含む109人が取り調べを受け、信号機の改変を手助けしていた会社社長1人が逮捕された。
こうした不正な信号の罠から逃れるドライバーとしての“防衛手段”としては、黄信号を見たらなるべく早く停止することだろう。しかしイタリア在住の筆者が思うに、車間距離をそれほどとらないドライバーが多い国柄ゆえ、あまり慎重に停止すると追突される危険性が高まるのが頭が痛いところである。