3 | 中華のピザ |
もうひとつ面白いのは、中華料理の傍らでピザを出す店も、イタリア各地で続々と増えていることである。元ピッツェリアだった店舗物件を購入したチャイニーズ系経営者によるものだ。中華料理を提供するとともに、もともと備わっていた窯を活用しているのである。
個人的には「中華料理店のカレー」がまったく違う評価軸の味であると説得されても、受容できない筆者である。「中華のピザ」も、なかなか食してみる勇気がなかった。
ところが先日、ようやくその機会が訪れた。出張先のホテルの近くに、中華料理店しかなかったのだ。前日、別の場所で中華を食べていたボクとしては、2度続けてというのもナンだと考えた。そんなことを思いながらメニューに目を落とすと、「ピザ」があるではないか。
しかしランチタイムである。イタリアでピッツェリアは、夜8時頃にならないと窯に火を入れない店が多い。昼に「ピザください」などと言おうものなら、「コレだから外人は困るよ」といった顔をされたりする。
ところが、たしかに店内の脇にある窯があって、早くも火が入っている。そして他の客のピザを次々と焼いている。それを見て、ボクも初めて「中華料理店のピザ」を注文してみることにした。
ピザは、5分前後でテーブルに運ばれてきた。従来のイタリアのピッツェリアでは注文を取りに来るまで20分、焼き始めれば早いにもかかわらず、注文を捌くのが遅く、さらに20分…、と時間がかかるのと対照的である。