欧州連合(EU)の域内では、21日午前0時から新たに9か国の国境検問所が廃止された。これはEU加盟国間で、出入国管理情報の一元化や効率化を定めた「シェンゲン協定」によるもの。
従来から実施していた15か国に加え、今回はエストニア、ラトヴィア、リトアニア、ポーランド、チェコ、スロバキア、スロヴェニア、ハンガリー、さらに島国のマルタ共和国がこれに加わった。これらは、2004年EUに新規加盟した国々である。
これによってシェンゲン実施国は24か国になり、EU域内住民のうち約4億人が国境を自由に往来できる恩恵に浴する。欧州各国のテレビでは、国境検問所で両国関係者らがゲートを鋸で切断したり、住民が切断したゲートを持ち帰ったりする映像が報じられた。
なお、イギリスやアイルランドは、現在もシェンゲン協定を批准していない。
イタリアでも隣国スロヴェニアとの間で国境検問が廃止された。たとえば北に向かって陸路をドライブした場合、理論的には次のパスポートチェックはロシア国境までないことになる。
ただし、往来プロセスの改善を喜んでいるのは、国境付近の住民だけである。大多数のイタリア一般市民は、旧社会主義圏から来る人々の不法滞在や密輸の増加を懸念しているのが実情だ。