パリでは、市内とシャルルドゴール空港、およびオルリー空港を結ぶ高速道路の渋滞が年々悪化の一途を辿っている。そうした中、「モトタクシー」といわれる、バイクを使用したタクシーが人気を呼んでいる。
渋滞を巧みに回避できるため、従来のタクシーより所要時間は2分の1から3分の1で済む。すでに広く知られているものだけでも、3社が営業している。
使用車の多くは、スズキ『バーグマン650』やホンダ『ゴールドウィングGL1800』だ。各モトタクシー会社はウェブサイトで、ABS付きや、約半月ごとの車両入れ替えをアピールして安全性を強調している。また電話付きなど、車並みのサービスを謳う会社もある。
ライダーに関していえば、採用基準を「免許歴10年以上。過去5年無事故無違反」としたうえで実技試験を課し、質の向上を図っているモトタクシー会社もみられる。
荷物は「最大10kg」や「機内持ち込み手荷物の制限内」など、会社によってさまざまである。
予想所要時間と料金は、モトタクシー会社の1社『リバティ・トランス』の場合、パリ市内−CDG空港が35分で45ユーロ、CDG−オルリー空港が45分で80ユーロだ。またパリ市内の移動は、20分で20ユーロという。いずれも早朝・深夜は割増しとなる。予約制で、いわゆる「流し」はない。
なお乗客にはヘルメットのほか、消毒済みのブルゾン、パンツ、グローブなどが無料で貸与されるので、たとえミニスカートで空港に降り立っても問題なかろう。
過去2回も飛行機に乗り遅れた経験がある筆者同様、パリで渋滞に巻き込まれてヒヤヒヤした人は多いと思う。そうした人たちにとってこの2輪タクシーは、一度試す価値がありそうだ。もちろん、「乗った途端に鼾をかいて寝っ転がるのが、タクシー最大の楽しみ」という向きには、お薦めしないが。