マツダが出展するモデル群のなかで最大の目玉となるのは、2ドアクーペのコンセプトカー『先駆』だろう。2ローター直噴REと電気モーターを組み合わせたハイブリッドユニットで後輪を駆動する、新時代の4シーターロータリースポーツという提案だ。
コンパクトなREハイブリッドの採用により、3000mmを超える超ロングホイールベース、限界まで切り詰められたオーバーハングを実現。そのフォルムは既存の乗用車とは趣をまったく異にするものだ。
エクステリアデザインは精緻そのもの。いくつものプレスラインが交錯する複雑な面構成のドアパネル、サイドウインドウ下端からボンネットに向けて美しい3次曲面を構成するウエストライン、力強いフェンダーアーチ等々、ボディの細部にわたり、造形に隙がない。
大胆な全身フォルムと細部の緻密な造形の調和というこのアンビヴァレントな演出を、マツダは「シャープネス&メローネス」と称している。鋭利さとしなやかさ、伸びやかさとタイトさ、優美さとすごみ、躍動と静けさといった、対局する二つの要素を融合させることで、深みのあるデザインを表現するといういものだ。このデザインこそが、『先駆』の真骨頂といえるだろう。