欧米資本と合弁したメーカーが中心の上海モーターショーだが、独立系メーカーもいくつか出展。その中で、ブース面積は小さいながらも気になったのが中順汽車だ。
中順汽車の主力車種はトヨタ『ハイエース』のデッドコピーともいえる『世紀』(Century)なのだが、存在感のあるフロントマスクに注目してほしい。また、グリルのテーマが同社の他の車種にも応用されているのがおわかりいただけるだろうか。
『SUV』も『MPV』も、荒削りではあるがオリジナリティのあるデザインと、ブランドとしての個性を示すフロントグリルを持っている。
また、同社は英語だと“Polar Sun Automobile”と表記される。その理由を聞いたところ、優れたウィットのセンスに感心してしまった。同社は中国東北部にある遼寧省の省都・沈陽市に本社があり、“Polar”には「対極の」という意味があるからなのだという。
つまり「会社の所在地は“沈みゆく太陽”だが、わが社はその対極、つまり沈むのではなく“昇りくる太陽”なのだ」という、ポジティブなメッセージが込められているのだ。
中順汽車の生産規模は年産50万台。おそらくはSUVもMPVも他メーカーのデッドコピーに近いシャシーなのだろうが、同社は今年になってカナダのサプライヤー大手・マグナインターナショナルとの提携を発表するなど、技術力の吸収と向上には熱心な姿勢を見せている。