後退…。青森県が飲酒運転の罰則要綱を見直し

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青森県は4日、2003年4月に定めた県職員に対する飲酒運転の罰則要綱を見直し、処分内容を軽くする方針を明らかにした。国や他県の基準と同レベルにするというが、何のための罰則強化だったのかと批判の声が上がりそうだ。

これは青森県・人事課が明らかにしたもの。青森県では2002年6月の道路交通法改正によって、飲酒運転の罰則規定が厳格化したことを機に、県職員が飲酒運転(酒気帯び、酒酔い)で検挙された場合には、「原則として懲戒免職処分にする」という罰則要綱を定めた。

教職員や警察官、管理職を対象にした同様の規定はこれまでにも存在したが、それを一般職員まで適用範囲を拡大。厳しい罰則を用意することによって、飲酒運転の抑止を図ろうとした。

2004年4月、県の出先機関に勤務する一般職員が飲酒運転で警察の摘発を受け、この罰則規定の適用第1号として同年6月に懲戒免職の処分が実施された。しかし、この職員は県の人事委員会に「免職処分は厳しすぎる」と、不服を申し立てていた。

これを受けるかたちで人事委員会は3月下旬、この職員の免職処分を撤回し、停職処分に切り換えるという裁定を行った。

その理由として「職員は飲酒運転を行ったが、事故は起こしていない」、「国や他県の基準と比べても処分内容が重すぎる」、「公然わいせつで警察に逮捕された職員にも免職処分は実施されず、停職処分に留まった」ことなどを掲げていた。

県人事課ではこの裁決を慎重に検討した結果、「厳格すぎる罰則規定はそぐわない」として、処分内容を見直し、事故を伴わない飲酒運転の場合には最大でも停職とするように改める方針を決めた。

見直しの理由については「人事委員会の裁決は重く、これを厳粛に受け止める必要がある」としているが、何のための罰則規定だったのかと批判の声が上がることは必至だ。軽くした処分が飲酒運転の抑止につながるのかという指摘もあり、当分の間は議論を呼ぶだろう。

《石田真一》

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