この春は『iPod』対応のオーディオヘッドユニットが各社からラインナップされ、正に百花繚乱の様相を呈している。
これらは「アダプターを介してiPodを接続し、ヘッドユニット側からのコントロールを実現する」という根幹の部分こそ同一だが、各社の色が出ているところもある。それは「どのように操作するのか」ということだ。
日本国内で先行発表したアルパインは、上級モデルには「グライドタッチ」という機構を搭載。iPodと同じような感覚で操作ができることを特長としている。iPodの操作性の良さはホイールにあるといっても過言ではなく、これを可能な限り継承すること=iPod連携と考えるメーカーも多い。
それではパイオニアはどうなのかといえば、実はiPodライクな操作性を持っていない。だが、実はそれこそがパイオニアの哲学ともいえる部分でもある。
パイオニア・モーバイルエンタテインメントカンパニー・国内営業部の木村友則さんは「iPodライクなコントロール機構を搭載するという考え方もありますが、パイオニア・カロッツェリアが第一に考えたのは、iPodを接続した場合にもカロッツェリアの既存モデルで培った操作性を犠牲にしないことでした」と語る。
カロッツェリアのヘッドユニットはソースの選択をクロスキーで行うが、iPodのコントロールでもこれを取り入れている。これまでカロッツェリアのヘッドユニットを使ってきた人にとっては、接続機器のひとつとしてiPodを違和感なく使える。
iPodから入った人にとっては「iPodライクな操作性をヘッドユニットに持ち込むこと」を求めるし、その要望に応えたメーカーもある。
だが、カロッツェリアのように既存ユーザーを重視した戦略を取る場合、iPodライクな操作性を持ち込むことは必ずしもベストとはいえないというわけだ。