低血糖状態を軽視…ミキサー車暴走で禁固2年判決

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糖尿病治療薬を原因とする意識障害を起こし、意識を失ったままコンクリートミキサー車を暴走させ、歩行者の女性3人を死傷させたとして業務上過失致死傷罪に問われた29歳の女に対する判決公判が19日、名古屋地裁で開かれた。

裁判所は被告の女に禁固2年の実景判決を言い渡している。

問題の事故は昨年8月6日の午前9時50分ごろに発生している。名古屋市中村区名駅5丁目付近の市道で大型コンクリートミキサー車が蛇行するように暴走を始め、そのまま100mほど走って堀川に架かる桜橋の歩道に突っ込んだ。

当時この橋には女性3人が歩いていたが、うち2人が即死。歩道に突っ込んでくるミキサー車を避ける際に足を捻挫した1人が軽傷。ミキサー車を運転していた女も衝突の弾みで車外に放出されて川に転落して、全身を強く打つ重傷を負った。

運転していた女は16歳のときに糖尿病を発症し、インスリン投与による治療を続けていた。事故を起こす直前にインスリン摂取を行ったものの、過剰摂取状態から意識不明となり、これが原因でミキサー車を暴走させた。

19日に行われた判決公判で、名古屋地裁の田邊三保子裁判官は「被告は“インスリン投与後に低血糖の症状が発生した場合には、回復するまで休憩するように”などと医師から注意されていたにも関わらず、意識が朦朧としていることを理解しながらも、そのうちに収まると事態を軽視して運転を続けたことが事故の発端となった」と認定した。

その上で「事故を起こせば重大な結果を引き起こすコンクリートミキサー車を運転している以上、自分の体調も含め、細心の注意を払う必要があった」と指摘。さらに「仕事への支障を恐れ、運転を続けた過失は重大だ」とし、被告に対して禁固2年の実刑判決を言い渡した。

《石田真一》

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