事故原因は野焼きに当たらず、でも関連あり!? 多重衝突事故の複雑な結末

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山梨県警は8日、今年3月に西桂町内の中央自動車道富士吉田線で発生した多重衝突事故について、この事故の主因とされていた野焼きの煙を「事故には無関係である」と認定しつつ、近くの建物に延焼する可能性があったとして、野焼きを行った87歳の男性を失火容疑で書類送検する方針を固め、今月17日と23日に事故現場を含む区間を通行止めにした大規模な実況見分を行うことを明らかにした。

この事故は今年3月20日、山梨県西桂町内の中央自動車道富士吉田線の下り線で、道路脇斜面の火災による猛烈な煙で視界を失い、路上で停止した乗用車に後続のクルマが次々と追突。14台が関係する玉突き事故となり、3人が死亡、2人が重体、9人が重軽傷を負ったというもの。事故の主因となった火災は、現場近くに住む87歳の男性が野焼きを行ったもので、これが高速道路脇の斜面にも延焼したとされた。

警察ではこの野焼きの煙がドライバーから視界を奪い去り、事故の要因を作ったとしてきた。しかし、野焼きという行為が「公共の危険を生じさせる」ではないという判断に達し、高速道路の事故はあくまでも「二次災害的要素しかない」という結論に達した。しかし、二次災害の構成には一時災害の発生が不可欠であり、この一時災害を「野焼きの火が強風にあおられて延焼した」と認定。さらに近くの農作業小屋にも延焼させる危険性があったことを「公共の危険を生じさせる要因になった」と断定し、この部分の容疑で男性の送検を決めた。

つまり、野焼きを行った男性の責任は「強風下で野焼きを強行し、他の建造物に延焼させそうな危険を生じさせたこと」のみに留まり、多重衝突事故については「視界が悪化した際に必要な回避義務はドライバーに責任がある」として、それぞれの衝突結果によって個々の責任を問うという流れに落ち着くようだ。

県警では今月17日と23日の両日、午後1時から5時の間、事故現場を含む都留インターチェンジ〜河口湖インターチェンジ間を通行止めとして、関係者全員を一堂に集めた大規模な実況見分を実施するという。この際、関係車両については事故発生時と全く同じ場所に配置し、それぞれの関係を正確に特定するとしている。

《石田真一》

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