出品車両の大半が市販車と、ちょっと寂しいと予想されていたメルセデスベンツのブースだが、隠しダマはしっかりと存在していた。3.2リットルV6エンジンを搭載する『F400カービング』だ。
乗用車開発担当役員、ユルゲン・フベルト博士は「スムーズな加速、エレガントな走り、コーナリング時のスポーティな動き、完璧なブレ—キング……、このすべてを兼ね備えているスポーツがあった。それはカービングスキーだ」と、開発の動機を語った。メルセデスベンツの開発スタッフは、アルプスでカービングスキーの動きを散々観察し、その挙動を可能にする技術を生み出し、F400カービングに搭載した。
そのシステムとは、アクティブキャンパーコントロール。コーナリング時になると、アウト側タイヤを下端が外側に張り出すように傾け、コーナリングフォースを得るという新システムだ。コーナリング時の最大横加速度は1.28G。従来のスポーツカーがせいぜい1G程度であることを考えると、驚異的な値だ。操作系も大半がリモコン作動するドライブbyワイヤー方式。まさにメルセデスベンツの次世代モデル開発のための「技術実証モデル」といえよう。