F1生活12年の最年長ドライバー、ジャン・アレジ。フェラーリ、ティレル、ザウバー、ベネトン、プロストと多くのチームを経験し、たくさんのドライバーが現れては消えていくのを見続けてきたアレジにとって、最近のF1事情はあまり喜ばしくないようだ。
「今はドライバーにできることがすごく限られているから、残念でしかたがないよ。よく『マシンとドライバーどっちが大事?』なんて質問をされるんだ。ドライバーの力がそれほど重要じゃないなんて僕だって言いたくないけれど、現状はそれに近い」
「ときどきマシンにのっても、何もしようがないときがある。1周しただけで自分のマシンレベル(戦闘力)が分かってしまい、グランプリ開催中、手の施しようがないんだ。少なくとも89年はこんなじゃなかった。今はドライバーが介入できる余地が少なすぎる。フェラーリやマクラーレンなら話は別だけどね」
「 もちろん今でもF1には最高峰のドライバーが集まってくるし、レベルが低くなっているわけではない。でも昔は予選が終了した段階でも、決勝に向けて対策の立てようもあったのにね……」
次第に巨大化するF1市場、巨額の費用を持つチームのみが勝利を納める現状は、アレジのような古いタイプのドライバーには歯がゆいようだ。