座談会:201X年、クルマに起こるIT革命 - Discussion - < TOP | 1 2 3 | NEXT >
パーソナル化に向かうUI
RBB クルマは自分の部屋みたいなものだと思うのですが、まだまだ個人のためのものになっていないなという気がします。

MS 同感ですね。社会とつながっていること、クルマ自身の中身とつながっていること、そして3つ目の柱があるとすれば、それはパーソナルな情報とつながっていることでしょう。クルマがコンシューマ製品である限り、それは必ず必要です。よくお客様から、「パソコンと同じように同じ画面を使うつもりはないからね」と言われます(笑)。

レスポンス クルマにとってのパーソナライズ化は、非常に象徴的なことだと思います。
MS 歴史を振り返ってみると、フォードが同じ型と色の「T型フォード」を大量生産したことで自動車が普及しました。その後、消費者が好みで選べるように自動車のバリエーションをそろえたことで、GMがフォードのシェアを抜きました。そこで重要なのは、GMがフォードと同等の効率をもつ量産ラインでありながら、何種類ものクルマを生産できたことです。つまり、ただバリエーションがあるだけではだめで、いわゆる単一モデルを作るのと同じ効率でバリエーションを生まなければ、結局生き残れないのです。バリエーションを作るのにコストや工数がかかっていてはだめで、効率的に生産し、なおかつバリエーションを確保するにはどうしたらいいか。これは、先ほどのスキンだけを変えるという話にもつながることだと思います。

RBB ハードウェアのパーソナライズの話になってしまいますが、鍵で運転する個人の情報を認識して、空調やオーディオ、シートポジションをセッティングするという試みはすでにありますね。

レスポンス ハンズフリーで使うBluetoothなどは、非常に深いところまで設定画面を進んでいかないと切り替えられなかったりします。この設定が鍵と結び付いていればいいな、とか、あとナビの学習機能だとか、そういうのもカスタマイズ化されて、サービスとして提供できると付加価値になりそうですよね。
RBB TODAY 小板謙次編集長
RBB TODAY 小板謙次編集長
自動運転しながら車内空間を楽しめる時代
レスポンス 冒頭で話した2012年頃には、我々が家族に「そろそろクルマを買い替えたほうがいいよ。今はこんなことができるから」と言える商品になっているといいですね。

MS 「このクルマなら、死亡確率が5分の1になります」と言われたら、自分の子どもにならちょっとお金出しても買ってやっちゃいますしね(笑)。個人的には「自動運転」が実現するといいなと思いますね。私が30年くらい前に自動車メーカーに入社した頃は、話題に上っても夢でしかなかった。SFの世界でしたね。しかし今の自動車メーカーはそれを本気で考えています。クルマがどんどんインテリジェント化していくことで、実現に向けた負担が少しでも拭えるような仕事ができたらなと思います。夢のある仕事ですね。

レスポンス 私は、2020年完成予定の「第2東名」ではぜひ自動運転レーンを作って欲しい。東京から名古屋まで、新聞を読みながら走ってみたいですね(笑)。

RBB 自動運転という安全面のイノベーションともう1つ、私としてはワクワクするほうのイノベーションも体感したいですね。

レスポンス データベースがたくさんあることが売りになっていた時代もありましたけど、今はそれをいかに絞ることができるかがキーになってきましたね。

MS そういうものがクルマのIT化によって充実してくれば、もっと面白いクルマの使い勝手が出てくると思います。


-------- この座談会は、2007年11月8日に実施した。
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