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制御・情報システムの融合が実現する“死なないクルマ” | ||
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WIRED “クルマのロボット化”とは、人工知能をもつ、つまり自ら考えるクルマということですか? MS 自動車メーカーでよく言われているのは、1980年代のアメリカのテレビ映画『ナイトライダー』に出てきた「KNIGHT2000」ですね。ああいうクルマを作るんだと。具体的には自動パーキングシステムであったり、より進化した衝突防止機能などのようです。そういう補助システムをどんどん作っていって、クルマの側から“人が死なないクルマ”を作ろうとしています。 |
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独自開発のカーナビシステムではもはや市場に追いつけない | ||
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RBB PCやITの世界ですと、インテルとベンダーが一心同体で標準化を進めていくようなスキームがありますが、自動車に関してはクライアント機の標準化が見えてきません。実際はどうですか?
MS 今は各自動車メーカーが、いわゆる“プロプライエタリ”なシステムを別々に作っていますが、それでは破綻すると言われてもう5年ほどになります。今のカーナビのフタを開けたら、ハードウェアの中身はほぼ同じで、差別化できるのはソフトウェアと機能です。しかし、たとえば音声認識ソフトをサードパーティから買ってくるなどして、いろいろな機能を搭載しようにもプロプライエタリでは実装に膨大な時間やコストがかかってしまい、もはや市場に追いつけなくなっています。 ですから汎用のプラットフォーム、これはクルマをPCのようなシステムにするという意味ではなく、いわゆるコンポーネント化された機能モジューのようなソフトウェアを比較的短期間に組み合わせて載せていくことができるようなもの、――それをビルディングブロックと我々は呼んでいるのですが、これを足していくことで1つのデバイスができあがるような、そういう仕組みを作っていく必要があります。 ところが従来の「組み込みシステム」は、個別にゴリゴリ作り込むものでした。最新の機能を載せるために無理矢理開発して、結局十分なテスト期間がとれず、出荷後にトラブルになるといったことが2、3年前は結構ありました。ですから、組み込みシステムを汎用プラットフォームベースで作らなければ立ち行けないことは、どこのメーカーさんも持っているコンセンサスだと思います。もちろん、標準プラットフォームのあり方がPCと同じでいいとは思っていなくて、組み込みには組み込みにふさわしい標準プラットフォームの作りがあるはずだ、とも考えているはずです。 レスポンス マイクロソフトの日本におけるクルマのIT化に向けた取り組みはツールを提供するイメージが強く、プラットフォーム支配的な印象は弱く感じます。 MS コンセプトとしては流れの中から生まれたと言えますが、PC的な発想からではなく、日本の自動車メーカーさんと一緒に仕事をしていくなかで、この業界で本当に何が必要かということがかなりわかってきたからです。Windows Automotiveは、日本の自動車業界を取り巻く仕組みに合わせながらも、PCのような汎用性の良さをどう取り込むかという発想で作ってきました。ですから、OSそのものはWindows Embedded CEという我々の汎用プラットフォーム用の組み込みOSを使っていますが、それをどう適用するかについては、自動車の組み込み製品に使えるように開発しました。CEそのものの汎用化とはかなり違ったものになっていると思います。 |
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「UIは金になる」ことを実証したiPhoneの衝撃 | ||
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WIRED ハードウェア的にはわかるのですが、“車内空間”と“歩行空間”というのは、インターフェースが大きく違わざるを得ないのではないかという気がするのですが、両方の空間で使用できるようになっていくということですか?
MS 我々はそういうUIを実現できるOSを作りたいと考えています。UIは「Windows Automotive」がもっとも注力している部分です。AUI(Automotive User Interface)のツールキットを使えば、デバイスのルック・アンド・フィールを、「スキンファイル」と呼ばれるパラメータデータの入れ替えだけで、つまり、プログラムを一行も変更しなくても、まったく別のデバイスに見せることができます。 レスポンス 以前カーナビメーカーの方にインタビューしたとき、カーナビやオーディオの操作だけでなく、空調のコントロールなど、車内外の装備をコントロールする必要が出てきた、よってUIの変更は必ず自動車メーカーと共同開発になると言っていました。 MS 自動車メーカーはUIに思い入れが強いですからね。唯一お客様に見えているUIの部分に関しては、厳しい仕様要求を出します。ですからAUIのようなものが使えれば、たとえばアメリカ人の眼は日本人よりも眩しさに弱い方が多いけど、どれくらいの輝度が良いのかとか、色のコントラストをどれくらいに抑えるのかという細かい調整も、短時間で実現できてしまうわけです。なおかつ、地域向けのみならず、パーソナライズ、たとえば若者にはポップなスキンにしたり、年配者には落ち着いたスキンにしたり、あるいはユーザーが自分でスキンを変えられたりと、UIは今、そういう世界にどんどん入っていこうとしています。 レスポンス 人とクルマを仲介するUIの目指すべきところはどこにあるのでしょうか? MS 今、メーカーは試行錯誤されているところだと思います。以前は、シンプルかつ車内で使いやすいUIというコンセプトで作られていて、もちろんその基本路線は崩れていないと思いますが、やはり「iPhone」の衝撃は大きかったと思いますよ。他社製との電話機としての差はないのに、UIの違いであれほど売れるのか、と。要するに、「UIは金になる、UIを変えることでビジネスにできる」ということを、iPhoneが実証してしまったのです。 ですから、ほとんどの組み込みデバイスの開発者たちは、UIで差別化をしないと生き残れないという考えにシフトしています。たとえばそれは、高級感であったり、本当にクルマのコンセプトにあったものであったり、自由にパーソナライズできるものであったり。あるいは、使いやすい、きれい、面白い、といった方向もあるでしょう。いずれにしろ、UIはお金になり、そこにはビジネスが生まれるから投資する価値があると。 レスポンス KNIGHT2000は音声認識による対話型UIを使っていましたが、この音声認識はいかがでしょうか? MS それは地域差があると思います。日本では一時ははやりましたが、今は下火です。日本ではナビゲーションの音声認識で、一度に全国の何十万か所の温泉を認識しようとか、そういうことを目指していたんです。「世田谷区」と言ったら、そこから絞り込みをして世田谷区内の地名の認識だけで済む、というようなところまでは、日本のメーカーは検証していなかったのかもしれません。一方で、欧米のメーカーは、結構真剣にそれをやろうとしていますよ。 音声の場合、10回のうち2回認識できないと、感覚的には半分失敗したように感じる。ですから、よほど認識率が高くないと、お客様は使ってくれないということもありますね。 |
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