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インタビュー/コラム:企業人
●ルノーが、日産ディーゼルと三菱を合併させる!?

――でも、確か1998年5月頃ですか、ドイツの週刊誌『シュピーグル』が、ダイムラーが日産自動車系のトラックメーカー・日産ディーゼル工業の株式50%以上取得するため動いていると、スッパ抜いた。その後、ダイムラーは日産自動車も含めた包括提携交渉を開始しました。こうした経過を見ると、ダイムラー・クライスラーは、日本のトラックメーカーとの資本提携関係を結ぶことを望んでいるのではないですか。

村田 あのときの動きは、ダイムラーが日産ディーゼルをアジアの小型トラック戦略の中に組み込もうとした動きだと思うんです。

――つまり、ダイムラーは日産ディーゼルをメーカーとしてではなく、アジアの生産拠点として望んでいたということですか。

村田 あの当時、ダイムラーと日産、それに日産ディーゼルの3社が小型トラックの共同開発プロジェクトを、日産ディーゼルの上尾工場で始めましたよね。これなんかは、ダイムラーの日産ディーゼルに対する考え方がよくあらわれているものでした。



――ダイムラーが開発した小型トラックを上尾工場で生産させ、アジアの小型トラックの戦略工場にするという、ダイムラーのシナリオに沿ったものだった。あの小型トラックの共同開発プロジェクトは。

村田 だと思いますよ。

――つまり、ダイムラー・クライスラーはアジアの生産拠点が欲しいわけだ。三菱ふそうトラック・バスカンパニーとボルボのような資本提携提携関係とは本質的に違うものを、ダイムラー・クライスラーは望んでいるわけですね。

村田 そういうことじゃないですか。

――ダイムラー・クライスラーが三菱ふそうトラック・バスカンパニーを必要としないとしても、ボルボはダイムラー・クライスラーの存在をあまり心良く思っていないのですはないですか。つまり、三菱ふそうトラック・バスカンパニーが分社後の持ち株比率は、三菱自動車が80%を握り、残りの19.9%をボルボが持っていますね。80.1%の株式を握っている三菱自動車とダイムラー・クライスラーが資本提携関係にあり、ダイムラー・クライスラーは三菱自動車の株式の34%を持っている。ボルボは、ダイムラー・クライスラーの間接的影響を、三菱ふそうトラック・バスカンパニーが受けるのではないかという懸念を抱くのではないですか。

村田 (疑念が)ないと言えばウソになります。でもね、ダイムラー・クライスラーが三菱自動車の株式の34%以上を獲るかどうかは3年先にならないとわかりません。年内に、三菱ふそうトラック・バスカンパニーを一応分社した時点で、ボルボは三菱ふそうトラック・バスカンパニーの19.9%の株式を持つという前提に立てば、ダイムラー・クライスラーが三菱自動車の株式を34%以上持つかどうかはっきりする3年先にならないと、ボルボが三菱ふそうトラック・バスカンパニーとの資本提携提携関係を継続するのかどうかははっきりわかりません。ボルボと資本提携することで、三菱ブランドが消えることはないと思います。

――ボルボ側は三菱ふそうトラック・バスカンパニーとの関係を継続したいと思っているんでしょ。

村田 そりゃもう強いと思います。協業することのメリットがありますからね。我々も同様です。

――だとした、ボルボが三菱ふそうトラック・バスカンパニーの株式19.9%を持った時点で、三菱自動車が持つ80.1%の株式を三菱グループの三菱重工業や三菱商事などに引き受けてもらい、三菱自動車を三菱ふそうトラック・バスカンパニーの株主でなくすれば、ダイムラー・クライスラーの間接的影響を受けるというボルボの懸念を払拭できるのではないですか。

村田 いろいろなシナリオは考えていますが、現時点では申し上げようがありません。

――ボルボの筆頭株主にルノーがなりましたね。そのルノーは日産ディーゼルの株主でもある。そして、ボルボは三菱ふそうトラック・バスカンパニーと資本提携する。こうした資本提携系列から、日産ディーゼルを、救済措置として、三菱ふそうトラック・バスカンパニーに合併させる構想があるそうですが。

村田 自分のことで精一杯で、とてもそんな甲斐性はありません。

――トラック業界では、三菱と日野自動車が熾烈なトップシェア争いをしてきたわけですが、今後も強みを生かして、トップシェアにはこだわり続けますか。

村田 シェアは大事ですけれど、シェアを目標にしてしまうと、それを達成するためだけに台数合わせをしてしまう。収益の面ではマイナスになることもあるんです。シェアというのはあくまで結果であって、まず、収益がきちんと出るような経営体制にしなければいけないと思っています。

昭和35年、東京工業大学卒業後、東京自動車製作所トラック・バス生産本部副本部長を経て、平成5年6月取締役トラック・バス生産本部副本部長兼東京自動車製作所長に就任。平成9年6月には常務取締役、平成10年6月に取締役副社長就任。平成12年6月より、取締役三菱ふそうトラック・バスカンパニー社長(CEO)として、指揮をとる。

経済誌編集長を経てフリー経済ジャーナリストへ。「週刊文春」「週刊現代」「週刊朝日」「プレジデント」などの雑誌や、「ニュースジャパン」(フジTV)で活躍。著書に「トヨタ創意くふう提案活動」「自動車大ビッグバン」などがある。

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