レースをするために集まったのだから納得できるレースをしたかったが、仕方なし。これもまたレースの現実である。しかし、我々の「AIOC東日本復興祈願145」の元に全国からメンバーが集まった目的は、もうひとつあった。走ること、競うことでできる「募金」である。
ゼッケン130「AIOC東日本復興祈願145けを走らせる目的のなかに、宮城県で実際に被災してしまったホビーレース仲間とサーキットで走る時間を共有したいという想いがあった。スタートは伊藤に任せたが、第6スティントのバトンを宮城県の佐藤に託した。
第4スティントは、大阪でレーシングギヤショップを経営するアンダーレの代表取締役・山本に「AIOC東日本復興祈願145」が託された。山本はショップ経営を営む傍ら、自らもホビーレースに積極参加するアマチュアレーサーでもある。
スタート直後の3番手から順位は一気に50番手前後へ。しかし、まだ11時間も時間は残っている。第2スティントを担当する大川にとっては、生まれて初めてツインリンクもてぎを走るだけに、余計なプレッシャーもかからずに丁度良かったのかもしれない。
ゼッケン130は、東日本大震災の発生からレース当日が130日目だったから。急造チームだけにまともにスタッフすら集める時間もなかったから、チーム監督はドライバー兼務で自称「僕」。
2011年3月11日から、ちょうど130日目となる7月17日に、僕たちはツインリンクもてぎにいた。レースを見ることも大好きだが、自分でやる方がもっと好き。「走ることで何かできるのではないか?」と考え、集い、走った、2011年度版「大人の夏休み」である。
アルファロメオ江戸川としてのアイドラーズ12時間耐久レース参戦は2年目。同社はフィアット&アルファロメオの正規ディーラーだが、自然派生的にユーザー主体のレーシングチームであるAIOCが誕生したのは2005年のこと。
東日本大震災の発生以後、プロのレースが自粛や延期を余儀なくされたほどなのだから、趣味のレース=ホビーレースの主催者たちの多くが二の足を踏んだことは想像に難くない。
2010年のアイドラーズ12時間+9分耐久レース(7月18日)は、午後4時06分に発生したクラッシュによって約1時間30分ほどもレースが中断した。コース上の車両撤去と安全確認は素早く行われたのだが、主催者は安全を優先させるために赤旗中断とした。
さて、レースともなれば走行後のホスピタリティも非常に重要となるのは言うまでもない。とくに夏の耐久レースではレースカーの車内は40〜50度にも達する。
レース車両変貌への道は、軽量化と要所の強化だと言っても過言ではない。関西アルファロメオチューナーNo.1としての名声を誇るユニコルセからは、『145』に限らずアルファロメオのラインナップに対応する気の利いたパーツが各種リリースされている。
フィアット江戸川/アルファロメオ江戸川がレーシングサポートをユーザーのために行うAIOC。アイドラーズ12時間+9分間耐久レースのローリングスタートを任されたファーストスティントはT氏が担当した。
自動車やオートバイを問わず、内燃機関を持つすべての乗り物に欠かせないのがルブリケーション(油脂類)の存在だ。油脂類の性能がエンジンやトランスミッションの性能を引き出し、そして保護する役割までカバーすることになる。
密着取材を行ってみて初めて分かった。アイドラーズ12時間+9分間耐久レースの戦いは、とてつもなく長い戦いだった。
タイヤの重要性と優先順位は、ホビーレースであってもF1であっても変わらないという。葉書一枚ほどの面積でしかないタイヤのコンタクトパッチで、制動力もコーナリングフォースもトラクションも、すべての限界が決まってしまうからだ。