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インタビュー/コラム:企業人
[an error occurred while processing this directive] 【トップインタビュー】アメリカ進出をトヨタと---日野自動車社長 蛇川忠暉
――日野自動車の全株式の50.1%をトヨタ自動車が持ったことで、日野はトヨタの子会社となり、トヨタの副社長だった蛇川さんが日野の社長に就任された。日野の社長ポストにトヨタ出身者が就任したのは初めてですね。

蛇川 いや、日野というよりも、トヨタの副社長がトヨタの関係会社の社長になるのは初めてなんですよ。だからね、僕は奥田(碩トヨタ会長)さんから「日野の社長になれ」と言われたときに、これまでトヨタの副社長で関係会社の社長になった例はありませんよ、と言ったら(奥田さんには)「何事にも例外はある」の一言で片付けられちゃった(笑)。※蛇川氏プロフィール

――日野は1997年に上場以来初の赤字に転落して、以来、湯浅浩前社長(現相談役)が「指名解雇も辞さず」という強い決意で大リストラに取り組みました。その結果、2001年3月期の決算では、ようやく黒字化のメドが立った。とはいえ、黒字化のメドが立ったということと、黒字体質になったということは違うと思いますが。

蛇川 全然違う。黒字化したのは湯浅さんの仕事。黒字体質に持っていくのが僕の仕事だと思っています。

――黒字体質にするためには、コスト競争力をつけることが大事ですよね。

蛇川 そう思います。日野の内製率はたぶん原価の2割ぐらいだと思うんですよ。問題は架装を含めた残り8割の外注です。この外注の部分をどうするかが、コスト競争力をつける重要な鍵になるんです。いま、乗用車メーカーの海外進出、海外シフトによって、ユニットメーカーを含めて部品メーカーの空洞化現象が起きていると僕は見ています。これはトラックにとっては大きなビジネスチャンスなんです。

――空洞化した分、トラックで穴埋めできるとすれば、ユニットメーカーを含めた部品メーカーは、トラックの仕事がノドから手が出るほど欲しいはず。だとすれば、トラックメーカーの要求も飲まざるを得ないだろうというわけですか。

蛇川 だから、僕は少なくとも固定費、つまり開発費や、ある種の新規投資は、トヨタと取り引きのある一次部品メーカーの団体である協豊会、すなわちトヨタで払ってもらうようにしようと考えています。

――えっ、あのトヨタの強さの原動力と言われている協豊会にですか。

蛇川 そう。そうすれば既存のメーカーは作ることに徹して、原価低減をやらせることができます。いくつか今度のモデルチェンジの中で実現させたいと思います。ですから、僕はいま、モデルチェンジを急げと言っています。ところが、トラックは排ガス規制でもない限り、何もやらないんですよね。

――通常、トラックの場合は、モデルチェンジの期間が10年から12年というのが常識とされていますからね。

蛇川 そんなもの関係ないですよ。10年も12年もモデルチェンジしないのは、僕はバカだと言っている。だってそうでしょ、10年いじらないというのは、10年間の進歩を無視しているわけですからね。あれだけ儲けているトヨタだって、毎年毎年、毎日毎日原価低減をやっているんですよ。原価低減というのは値段交渉じゃないんです。そこには技術の進歩が必要です。それが10年分溜まっているとしたら、こんなおいしいことはない。トラックだからできないなんて嘘ですよ。

――原価低減のためには、モジュール化という方法もありますが、トラックの場合、エンジンの種類があまりにも多くて、難しいといわれていますね。

蛇川 いや、僕はトラックこそモジュール発想でいいと思います。もうずっと売れてきましたからね。もう根っ子も何もありませんから、モジュール設計をやらせてみればわかると思うんです。そのモジュール設計の対象は協豊会ですね。つまり、トヨタ持ちなんです。僕はトヨタ時代に購買をやっていましたので、協豊会とのつながりはあります。いまから昔の仲間にこの話を持ちかけようと思っています。協豊会は僕にとって、日野にとって宝ということですよ。空洞化現象によって、トヨタは協豊会に、トヨタのシェアを50にして、あとの50は外に売れと言ってきた。外というのは、いまとなると、こっち(日野)なんですよ。だから僕は日野に納入してよ、と言う。目先の利く協豊会の部品メーカーさんは、早速、いろいろと試作レベルでも日野に入り込んでいます。

――今まで日野は協豊会との取り引きはなかったんですか。

蛇川 3分の1ぐらいは入っていますが、それを中核にしようということです。

――これまで取り引きしていた協豊会以外の部品メーカーは大変ですね。仕事が無くなるかもしれないわけですからね。

蛇川 大変だよね、もうわかっていると思いますよ。

※ 日野が今後コスト競争力をつけていくうえで、中核的な役割を協豊会が担うことについて、トヨタの荒木隆司副社長は「日野が強くなることはトヨタグループの強化につながるわけで、全面的に協力していきます」と語っている。

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