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東京工業大学理工学部卒。62年、いすゞ自動車株式会社入社し、82年、開発本部大型車研究実験部長となる。90年、取締役就任。98年より代表取締役社長兼COOとして、指揮をとる。
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●黒煙を見えなくするのはそう難しいことではない
−−ディーゼルエンジンはいま大きく飛躍する途中にあるというわけですね。
稲生 そうです。ですから、ディーゼルエンジンを大きく飛躍させることができるトラックメーカーは大きく成長するでしょうし、それができないメーカーは取り残されることになると思います。
−−ディーゼルエンジンが今後大きく飛躍する可能性があることはわかりましたが、一方でNOxやPM、それにあの黒煙ですね。こうしたディーゼルエンジンの欠点の克服に時間がかかったせいもあって、ディーゼル車に対する風当たりは強いですね。
稲生 やっぱりディーゼル車に対する市民の感覚に疎かった時期があったと思いまして非常に反省しています。とくに黒煙はディーゼル車のイメージをすごく悪くしました。ガソリン車が黒煙を吐いているのに、あれはディーゼル車だと言われてしまうんですから。ディーゼル車イコール黒煙というイメージが定着してしまった。黒煙を見えなくするのはそう難しいことではないので、ほんとうに申し訳ないと思っています。
−−東京都の石原慎太郎知事が『ディーゼルNo作戦』をブチ上げたのがきっかけとなってディーゼル車の排出ガス規制強化に政府・自民党が乗り出し、規制強化の骨格がはっきりしました。政府のディーゼル車排ガス規制強化案のひとつに、2007年に実施予定だった新長期排出ガス規制を2年前倒しで実施することがありますが、新長期排ガス規制の中身が大変厳しいだけに、メーカーは果たして、この規制をクリアすることができるのかどうか。
稲生 軽油の硫黄分を低減するなどの前提条件はありますが、先程申し上げた新しい噴射システム、エレクトロニクスコントロール、それに後処理の3つでクリアできると思います。
−−後処理を加えず、ディーゼルエンジンの改良だけで新長期排ガス規制をクリアするのは無理ですか。
稲生 ディーゼルエンジンだけで規制をクリアできる可能性は少しはありますが、やっぱりいちばん安く、合理的にクリアすることを考えると、後処理は必要ですね。
−−後処理の装置であるDPFについては、国内トラックメーカーの中でもいすゞが圧倒的にリードしていますね。
稲生 まだまだスタートしたばかりですから、これから飛躍的に良くなると思います。


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経済誌編集長を経てフリー経済ジャーナリストへ。「週刊文春」「週刊現代」「週刊朝日」「プレジデント」などの雑誌や、「ニュースジャパン」(フジTV)で活躍。著書に「トヨタ創意くふう提案活動」「自動車大ビッグバン」などがある。
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●大気汚染改善には新型車代替がもっとも効果がある
−−DPFの課題は何ですか。
稲生 やはりコストです。DPFの価格とそれを装着するための費用を合わせて、2トンクラスで80万円、中型では100万円を超えるといわれていますから。あと技術的な課題としては、いかに耐久性を持たせるか、ですね。排ガスの温度、平地では効果があるが、坂道では効かないとか、その逆ですとか、渋滞中にも効果を発揮するとか、いろんな使用条件にも対応できるタフネスをいかに持たせるかが技術的課題です。しかし、こういう技術は、一旦スタートすると、ものすごく進化が早いので、そういう課題は克服できると思っています。
−−政府のディーゼル車排ガス規制強化策の中には、もうひとつの柱として、新規制に適合したディーゼル車への買い替えを促進するため、自動車取得税などの優遇措置や、中小企業向けに買い替え費用として5000万円の債務保証枠を設けることが盛り込まれていますね。
稲生 ディーゼル車の排ガス規制強化は新規制に適合した新型車と、規制以前に販売された既販車の両方を考える必要があります。新型車については、メーカー、運送業者さんなどのユーザー、それに運送業者さんに物を運んでもらうことでメリットを受ける国民の方々がそれぞれコストをフェアに負担することが大事だと思います。それを条件とすることが政治であると思っています。
−−既販車については、自民党では1989年規制(短期排ガス規制)以前のディーゼル車の保有を禁止することを検討しているようですね。
稲生 大気汚染の改善には、既販車を新規制に適合した新型車に切り替えていくことがいちばん効果があります。とくにトラックは大量の荷物を効率的に運べるメリットはありますが、エンジンの排気量が大きい分、大気への負担も大きいといえます。したがって、排ガスを大幅に改善した新規制適合車への買い替え促進策は大気汚染の改善に直接効果のある対策だといえますし、それに税金を効果的に使うことはすごく大事だと思います。
−−新長期規制をクリアするために、メーカーは莫大な研究開発投資をしているわけですが、メーカーとして国から技術開発のための支援金を出して欲しいとは思いませんか。
稲生 もちろんありますが、それが通るかどうかね。
−−個別メーカーには無理だとしても、業界団体である日本自動車工業会として支援金を受けることは可能なのではないですか。
稲生 なるほど。検討してみます。
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