清水 海外でのLS600h、またハイブリッドシステム全体に対する評価はいかがでしょう? すでにプレミアムブランドとして、レクサスが高い評価を受けているアメリカでは、LS600hが「グレート!」と称賛を浴びるのは容易に想像がつくのですが。メルセデス、BMWなど高級車の本場、ヨーロッパではナショナリズムも働くでしょうし、反応はクールではなかったですか?
定方 おっしゃるとおり、ヨーロッパでの反応は想像していた以上に厳しいものでした。過去形で申し上げたのは現在は違うということなのですが……。2005年のレクサスRX(ハリアー・ハイブリッド)の時は、そもそもハイブリッドがなんたるかが、まったく理解されていない状況でした。「レクサスがSUVに、なにやらハイブリッドというオモチャみたいなものを付けたらしい」といった程度の認識。質問の内容もレベルが低くて、「電気を使っていて感電しないのか?」そんなレベルでしたね(笑)。
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清水 意外ですね。
定方 それが、2年後のドイツではまったく状況が変わっていました。おそらく、それまでのモーターショーでの技術展示などでハイブリッドシステムの内容が理解できたのでしょう。「何に積むのか?」「今後どう進化するのか?」などなど、ジャーナリストから非常に細かい部分まで質問攻めにあいました。2年前と違ってみんな真剣でしたね。
清水 それはきっと、自国のメルセデス、BMW、アウディが長年にわたって築き上げてきた高級車の牙城を崩されるかもしれない、そういう危機感からでしょう。
定方 崩されるとしたら、LS600hかな? そう意識した質問でしたね。試乗もしていただいたのですが、「他メーカーには真似はできない」と、完成度の高さを皆さんに評価していただきました。
清水 BMW、またGMとダイムラーが手を組んで「ハイブリッドの高級車を作る」と宣言したこととも無関係ではないですね。また、トヨタがハイブリッド車でドイツ・ニュルブルクリンク24時間レースに参戦。結果はともかく、完走した実力を彼らは認めたんだと思います。「これは本気なんだ」と。
定方 “オモチャ”とまで揶揄されたプリウスから10年、技術的にやっと世界で認められるレベルまで達したんだと思うと、やはり感無量です。 |
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