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TECHNOLOGY
乗る人に心地よい源流主義とひとクラス下の低燃費性能 < TOP  1 2 3 4  NEXT >
定方 理氏 定方 LS600hはスポーツカーではありません。たとえパワーに満ちあふれていても、アクセルを大きく踏み込んで排気音を楽しむクルマではない。こういった部分に徹底的にこだわりました。「不要な音・振動は極限までなくそう。欲しい音は残そう」が開発過程での合い言葉になったのですが、これが微妙なのです。

たとえば、ロードノイズは耳障りですが、まったく聞こえないと路面状況がわかりにくい。さらに難しかったのが、ハイブリッド特有の回生音。最後に聞こえる“ヒュ〜ン”という音ですね。ハイブリッドでは仕方ないと思えるこんな音も最高級車にはふさわしくない、と。エンジニアに“無音”を要求し、それを実現しました。

ハイブリッドに対する意識の大変革であり、ハイブリッドに10年間携わり、ノウハウを蓄積してきたから成し遂げられたことで、大きな進化を遂げた高級車にふさわしいハイブリッドだと自負しています。

清水 いっぽう、全域でもたらされるパワーは車名のとおり6リッター車並みです。そもそも高級車には「ムダなことをやる美学」みたいなところがありますよね。LS600hも、すでにLS460があるのに、わざわざ排気量を5リッターにしている。

清水和夫 定方 LS460とLS600は同じV8ですが、じつは開発は個々に行なわれた、まったく異なるエンジンなのです。レクサスのフラッグシップで、既存のエンジンにハイブリッドを組み合わせる“安直さ”は許されないという思いがありましたし、パフォーマンス的にも4.6リッター+ハイブリッドでは“550h”といったところでしょう。同じ土俵に立つライバルとして目したのは、やはり車名に“600”の数字を持つメルセデス、あるいはBMWのV12エンジン搭載車だったのです。

清水 LS600hはV8エンジンですが、ハイブリッドという先進技術でV12同等以上のパフォーマンスを得ている。独自の世界を持っていないと、高級車としてなかなか認められないですよね。

定方 また「高出力なら燃費は悪くて当然」といった従来までの高級車の常識を覆した点もLS600hならではです。もっとも、レクサスのフラッグシップとしてふさわしい動力性能を追求し、ハイブリッドを用いた結果、「3リッターV6並みの燃費でV12モデル同等の走り」が達成できたわけで、じつは最初から狙った性能ではなかったのです。

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