「『プリウス』の購入を考えたのは、ロンドン市渋滞税の存在なのです」と語るのはロンドンでヘッジファンド・ファームを経営するヨアヒム・ショットさん。
渋滞税(Congestion charge)とはロンドン交通局管轄のもと、交通量削減をめざして2003年から開始された制度で、ロンドン中心部特定区域をクルマで通行する場合、料金8ポンド(開始当時は5ポンド)を支払うことが義務となっている。
「自宅は渋滞税区域の目と鼻の先にあります。打ち合わせにクルマで出かけるときはもとより、子供の学校が渋滞税区域内にあるので、毎日税金を払わなくてはならなかったんです。1回でも忘れてしまうと、100ポンドもの高い罰金が課せられます! しかし交通量を減らしCO2排出量削減のために設けられた制度ですから、ハイブリッド車には渋滞税が掛からないのです。そこで2005年に『プリウス』の購入を決意しました」
以来ファミリーカーとして、プリウスが出動しない日はないカーライフを送っているショット家であるが、2年間このクルマに乗り、思った以上にプリウスがアーバンライフに適していると実感しているという。
「加速減速を繰り返す都市での走りが非常にスムーズです。そして何より、ちょっと大袈裟ですが“罪悪感”から解放されたように感じています。環境のことを考えると公共交通機関を使ったほうがよいのでしょうが、生活者としてクルマは必要ですよね。でもハイブリッド車であるプリウスなら、その罪悪感を感じることなくカーライフを送れるのです」
「環境と経済性を考えたクルマ選びは家族人として大切なこと」と語るショットさんだが、もうひとつこのクルマを持って気づいたことがあるという。
「どんなクルマを持っているかは、その人の考え方を示すものだと思うのです。プリウスに乗っていると“燃料費が安くついて羨ましい!”とよくいわれますが、燃費以上に私を満足させてくれるのは、まわりがプリウスに乗っている私のことをトレンドにフィットしたスマート(賢い)な生活者であると理解してくれる部分です。それがほかのクルマとの大きな差ですね」
この言葉どおり、京都議定書目標値の2倍以上のCO2削減目標を設定しているイギリスでは、“環境をケアしている”ことはその人物の社会問題意識の高さとスタンスを表す大きな指標になっているのである。
今後もハイブリッド車に乗っていきたいというショットさん。「このクルマにはあと3〜4年は乗るつもりですが、買い替えを考えるころには、きっと世の中にはもっとハイブリッド車が増えているでしょうね」 |
|
 |
 |
 |
ヨアヒム・ショット Joachim Shott |
 |
ドイツ出身。銀行員やコンサルティング会社勤務を経て、1年前からヘッジファンド・ファームを経営。会社員時代に日本に1年間の滞在経験も。アメリカ赴任後、2000年からロンドンに居住。コンサルティング会社勤務時にGMとフォードを担当した経験もあり、クルマについては技術面も含めとても詳しい。ロンドン東部にあるテムズ側沿いのフラットで、妻と3歳、6歳の娘さんとの4人暮らし |
|
|
|
 |
|
 |
買い物や家族の送り迎えなどロンドン市内での走行シーンが多いせいか、走行距離は1万1000マイル強(1万8000km)程度 |
|
 |
ロンドンでマイカーを持つことはかなりの経済的負担を強いられ、クルマを使った生活行動範囲の広がりや、環境にも配慮するとなるとプリウスの選択肢が必然になってしまうと語る |
|
 |
渋滞税区間(ロンドン市内中心部)の出入り口では、写真のような標識とその上に監視カメラが設置され、違反車両をつねにチェックしている |
|
 |
どんなマイカーを所有しているかは、その人それぞれを映し出す鏡。プリウスは今の時流にあった“賢い生活者”のイメージを手に入れられ、それが他車にないアドバンテージだという |
|