ハーレーの中でも最大の排気量を誇るエンジン
今回紹介するバイクは、ハーレーダビッドソンの『ローライダーS』。
私はこれまでハーレーではアドベンチャースタイルの『パン・アメリカ』とボバースタイルの『スポーツスターS』の2台に乗ったことがありましたが、この2台のエンジンは最新の排出ガス規制にも適合するように1から現代的な技術で設計された1200ccの水冷DOHC。
それに対し、このローライダーSに採用されているのは昔ながらの設計を残したまま発展してきた空冷OHVのミルウォーキーエイト117と呼ばれるエンジンとなっています。その名の由来の「117」は排気量、117キュービックインチ=なんと1983cc(!)によるもの。ハーレーの中でも最大の排気量を誇るエンジンとなっています。

そんな巨大なエンジンを積んでいるローライダーS。覚悟はしていましたが、国産ビッグバイクと比べてもまあ重い!ハーレーらしく足着き性はいいのですが、車重308kgは取り回すだけでもひと苦労です。アメリカ人向けに作られているためライポジも大柄。フォワードステップなので足を前にバーンと投げ出して乗るスタイルはとても開放感があるのですが、身長160cmの私ではシートのベストポジションに腰を据えると、腕や足が伸びきって届くか届かないかギリギリな状態。
リヤブレーキペダルもしっかり踏みこめないくらいの遠さです。最近は女性でもハーレーに憧れて買おうかなと思っている人も多いでしょうが、ノーマルの状態ではかなり苦労すると思うのでシートやハンドル、ステップまわりをカスタムで乗りやすくできるかどうか購入前にディーラーで相談しておくことをオススメします。
一度動き出したら、もう停まりたくない(2つの意味で)

いざ走り出してみると、1983ccもあるだけに低回転からドドドッとものすごい鼓動感と力強いトルクに驚かされます。スポーツスターSも鼓動感が際だっていましたが、それが霞んでしまうくらいの強さです。これぞ、まさしく本物のハーレーという感じなのでしょうか。800rpm前後と低いアイドリング回転域での“ドドドド、ドッ、ドドッ”と、ときどき息をつくようなリズム感も独特です。
この不定期なリズムを奏でるところは、機械というよりまるで生き物のよう。ハーレーファンが言うように鉄の“馬”なんでしょうね。国産のエンジンと大きく違い、熱烈なファンが多いのもうなずけます。ハーレーでもスポーツスターSとパン・アメリカの最新水冷エンジンは、ミルウォーキーエイトと比べるとやっはり洗練されてしまって生き物のような感じは薄れているような気がしました。
そんな味のあるエンジンだけに、スタートしたらどこまでも走り続けて遠くに行きたくなってきます。一度動き出したら、もう停まりたくない(車重が重いから停まると大変ですしね)。このローライダーSに乗ってみて、ハーレーはつくづくアメリカの乗り物だなあという気になりました。こんなマシンで信号待ちや渋滞の無い道を優雅にクルージングできるアメリカは羨ましいです。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★
コンフォート:★★★
足着き:★★★★★
オススメ度:★★★
小鳥遊レイラ|愛称:ことりちゃん
レースクイーンに憧れてモータースポーツ業界へ。しかしMOTOR STATION TVでの出演をきっかけに走る方に目覚めてしまい、いきなり大型二輪免許を取得。現在では2輪4輪共にサーキットを走り、2019年に4輪のレース参戦のためJAF国内A級ライセンスを取得。2021年にMFJロードレース国内ライセンスを取得して、2輪・4輪両方でレース参戦。ストリート走行からサーキット走行まで楽しむモータースポーツ女子。身長は160cm。