■液晶テレビに見えるコンパクトボディ
一見すると液晶TVにしか見えないスタイリッシュなボディ。HDDナビとしては業界最小、最軽量を実現した製品がこの『HDX300』だ。その一方で本体には、パナソニックがこれまで培ってきたカーナビ最先端の技術がふんだんに盛り込まれている。その筆頭が16GB HDDを縦置きに収納したことだ。
これまでHDDの縦置きは、その回転軸に及ぼされる重力の影響が大きいとして、長らく避けられてきた。だが本機では、長時間の使用でも安定した回転を得られる最先端HDDを採用。しかも振動によるデータ読み取りエラーに対して、瞬時に補正が行えるファームウェアを開発した。
またHDDならではの高速読み出しをフル活用するため、独自開発の「ウルトラ1チップ」を採用。これは上位モデル『HD9000』と同等のクロック周波数(200MHz)を誇るチップで、CPU、描画プロセッサ、I/O ASICを一体化している。これにより基板の小型化とコストダウンを可能にしたほか、データ転送バスを省略化し、CPUまでダイレクトにデータ転送が行えるようになった。高速処理に関して、これが大きなプラス材料として働いている。
オンダッシュで取り付けることも想定し、熱対策も万全に施した。本体のフレームには放熱特性に優れたアルミダイキャストが採用され、強制排気を行うファンが用意されている。これによって安定した使用環境を実現しているのだ。
そのほか、測位精度が向上したのも重要なポイントだろう。本機にはクルマの傾斜角や方位変化を検出する3Dジャイロを内蔵し、車速パルスとの併用でHD9000と同レベルの高精度測位を達成している。
本体を実際に手にとってみると、HDDが内蔵されたカーナビとは思えないほど小型化されているのが感じられる。コンパクト化へのあくなき追求によって生み出された、エンジニア魂の結晶といえるナビだと思う。
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