●現代のレーシングコースに求められる高い安全性
今回のコース改修は、コースの安全性向上、観客サービスの向上、レース参加者・メディア関係者のための機能性向上の3つを主眼に行われている。
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今回改修になったコースの新レイアウト。グレーが新コース、ピンクの部分が旧コースだ。 |
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「鈴鹿のように、2輪と4輪両方で、世界最高レベルのレースを開催するサーキットというのは、鈴鹿を含めて世界にも4〜5箇所しかないんです。2輪も4輪も毎年のようにマシンの速度は上がっていますし、それに伴って安全性の向上が要求されます。実際、FIA(国際自動車連盟)とFIM(国際モーターサイクリズム連盟)による、安全性の視察が毎年あるんですよ。それで、とくに2輪方面から、スピードに対する安全性向上と、ランオフ・エリアの拡大が要求されていたんです。鈴鹿サーキットは昨年5月に、2006年までのF1開催契約を更新しましたし、この際なのでまとめて大規模な改修をすることにしました。安全にパーフェクトはありませんが、少なくとも安全に関する最新の国際基準をすべてクリアするサーキットにしようと考えたんです」
と、深津社長は改修の動機を語る。改修計画は2000年初頭から開始され、同年夏には最終案が固まり、暮れから作業が始められている。総費用30億円の大プロジェクトだ。
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コースを案内してくれた、深津・鈴鹿サーキット社長(左)。昭和15年生まれの60歳。昭和38年ホンダに入社。昭和55年にはアメリカホンダ副社長、昭和62年ホンダ・ブラジル現地法人社長就任。平成9年ホンダ専務取締役を経て、平成11年に鈴鹿サーキット代表取締役社長となり現在に至る。右は改修直前の鈴鹿サーキット・航空写真。
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今回の改修では、まず1コーナー先のS字コーナー入り口で、アウト側(進行方向右側)のランオフ・エリアが9mから25mに拡大されている。
つぎに続くS字出口から逆バンクにかけては、コースそのものを進行方向左側(外側)に全体移動させ、アウト側ランオフ・エリアを15mから25mに拡大。さらに、その先の逆バンクのアウト側(進行方向左側)にあった斜面を削って、ランオフ・エリアを5mから20mに大幅拡大している。なお、このコースの一部変更により、コースの全長はこれまでの5.86403kmから4.9m短くなり、5.85913kmとなった。
「この部分では、過去のF1でもいろいろなドライバーがスピンしたりマシンのコントロールを失ったりしていますよね(笑)。それでイン・アウトともランオフ・エリアを拡大したんです。コースの全長が少し変わったことと、コーナーの曲率が若干変わったことで、タイムにも影響が出るでしょう」と深津社長。
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左が改修後、右が改修前。ランオフエリアが看板ギリギリまで広がっていることがわかる。
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続くダンロップ・コーナーでも、イン側の斜面を削って見とおしをよくするとともに、コースの一部を進行方向左側(外側)につけかえたことで、アウト側ランオフ・エリアを12mから25mに拡大した。さらに、デグナーカーブ出口と130Rでもランオフエリアを拡大している。
「安全性向上とスピードというのはいたちごっこで、コースの安全性が上がるとマシンのスピードも上がってしまうんですね。とはいえ今回の改修では、これからの時代を先取りするレベルの安全性を確保できたと思っています」と深津社長は語る。
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