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インタビュー/コラム:企業人 |
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--- パイオニアは市販(後付カーナビ)の比率が高いメーカですよね。いま純正採用率が急速に高まっていますが、こういったことに脅威は感じていませんか。純正と市販の違い、これからは市販ナビはどのようになっていくと考えてますか。わざわざ市販を買いたいと思わせる施策は、なにかおもちなのでしょうか。
黒崎 毎年、市販は10%程度なのに対して純正は40%ぐらい伸びていますから、これはたしかに脅威ですよ。なかには、クルマ購入時なら8万円で付けられる場合もありますから。カーナビが、クルマを売るための大きな目玉になっているのは確かです。ただ、市販のほうも中古車に取り付けるなど伸びてはいます。中古車ですと市販カーナビでないと装着はできませんから。
--- カーナビは、当初の目的地を案内する道具から、VICSやETCなどのITSとの関わりもより密接になってきています。パイオニアではどのように考えてますか。
黒崎 それに関しては、もっとも積極的なメーカーのひとつなんではないでしょうか。92年に発売したカーナビですが、このモデルでも96年スタートのVICSに対応していたんです。つまり、ユーザーは必要に応じてVICSユニットだけを追加すれば、VICS表示が可能です。そんなこともあって、96年から3年ほどはパイオニアがVICSユニットのシェアで圧倒的な地位を占めていました。ETCについては、インフラをパイオニアがやっていないので自社で開発するのは大変ですが、それでもいっしょにやっていただけるETCメーカーを探しまして、昨年の夏からカーナビとリンクできるようなシステムを作り上げました。新製品では、緊急通報システムのひとつである『ヘルプネット』にも対応する予定でして、この接続ユニットも業界最安値で提供できるよう準備を進めています。
--- すでにパイオニアのカーナビは、電話のハンズフリー機能も備えているわけですから、その拡張ということにすればコスト的にもかなり有利ですね。
黒崎 そういうことにもなります。ITSに対しては全部をやるわけにはいかないですから、それらを開発しているメーカーとタイアップして積極的に関わっていくというのが基本方針です。それは、OEMであってもカーナビ接続してうまく動作するような環境を作り上げていきたいと考えてます。ただ、車両情報との関わり合いとなると我われはアフターメーカーですから、弱い部分ではあります。
--- ただITSが広がっていきますと、どうしても車両側からの情報が必要になってきます。しかも、その車両情報は簡単には公開されません。どう対応されますか。
黒崎 パイオニアは、外から見ていると市販メーカーという印象が強いんですが、カーオーディオに関してはクルマメーカーへのOEMも多いんです。そういった部分を通じて情報は入ってくることは入ってきます。問題はクルマの一機能に直結した部分での開発でして、最初にクルマメーカーに収められるかというとそうはいかないんです。やはり資本関係の強い自動車メーカー関連会社が数多く存在しますし、そういう意味では今後も難しい問題だと思います。
--- たとえばトヨタ車では、カーナビ案内中にコーナーが近づくと自動的にシフトダウンする機能をもたせています。これはカーナビとATがリンクしているからできるわけで、こういう機能がどんどん入り込んでくると将来、カーナビは純正だけになってしまうと思うのですが。
黒崎 我われはライン装着のカーナビは供給していません。ですが、トヨタのカーナビ開発としてトヨタの研究所といっしょに、カーブの大きさやスピードで危険を知らせるアラームを開発しています。逆にトヨタからは、ハードとデータベースが一体で開発できることで、データ量もさほど増えず、コスト的にも安くできるというメリットを評価されています。ただ、究極のITSは自動運転につきると思うんですが、この時になればカーナビもそれを実現するためのひとつのパーツでしかなり得ませんし、それはもう少し先のことになると思います。パイオニアとしては、実用面を重視する純正カーナビと、最先端の機能を盛り込みながらエンタテインメント性をつけ加える市販カーナビとで、差別化をはかっていきたいと考えています。
--- パイオニアがそういった部分を重視してこられたのはよくわかっていますし、ユーザーからも支持されていると思います。純正とは明らかに違うというのも理解されています。ただ、ここのところ純正カーナビの勢いがますます強くなっている上、ITS化が進むにつれて市販カーナビの立場が苦しくなっていくのではないかという気がします。最後にこれからの市販カーナビの形ですが、携帯電話の環境が良くなるにつれて、たとえば必要なデータを必要に応じてダウンロードして使うといったスタイルが当たり前になってくるのではないでしょうか。
黒崎 カーナビを使っていると、走行中にお腹が空いたら近くのそば屋に自動的に連絡を取ってくれて、空いているかどうかを確認して予約もしてくれる。さらにはそこまでのルートも渋滞を回避しながら案内する。パイオニアとしては、こういう「ネットワーク・カーナビ」を理想として開発をしていくつもりです。単にホームページが表示できるからって、それがユーザーにとって嬉しいことではないでしょう。
--- カーナビ側には基本的なデータだけをもたせておいて、必要に応じて情報をアドオンしていくといったスタイルはどうでしょう。
黒崎 そういったスタイルは考えられます。基本のカーナビ用データはCDとかDVDに収録しておいて、最新のデータはサーバー側に置く。このコンビネーションでカーナビが成り立つ可能性は充分にあります。あとは価格や、料金が問題となりますね。何度もいいますが、パイオニアはそいうった情報が提供できる会社をグループ内にもっています。その意味でも新しいスタイルには素早く対応していけると考えています。
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カーナビ・カーAV評論家。モーターマガジン編集者を経て独立後、カーナビやオーディオの評論活動を開始。自動車雑誌や一般誌などを通じて、カーナビやITS関連の執筆を行なっている。著書に「カーナビ選びかた使いかた」(日本実業出版)。1956年生まれ。 |
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