[an error occurred while processing this directive]
[an error occurred while processing this directive]
[an error occurred while processing this directive] [an error occurred while processing this directive] [an error occurred while processing this directive]

インタビュー/コラム:企業人



--- カーナビ登場から10年が経ち、機能は年ごとに高くなっています。正直いうと「これ以上なにを搭載するのか」と思うぐらい充実していると思います。しかし、人間の感性にマッチした案内ができるか、という部分では、各メーカーともそこまでは到達していないと考えています。その中にあってパイオニアは、精度を上げることによる信頼性の向上によって、あるていど自然な案内を可能したと思っていますが、その辺はいかがでしょう。

黒崎 ありがたいことに、精度については雑誌などでかなり高い評価をいただいます。ちょうど私がこの部署に移ってきたときに、精度を上げるための方法について若いスタッフから「開発をひとつにまとめよう」という提案がありました。それまでは、車速パルス・ジャイロ・マップマッチング・GPSなどの開発項目を別べつに実行して、最終段階でもち寄って精度を出す手法がとられていました。当然、これだと成果を得るまでに時間がかかる。そこで、GPSでもジャイロでもなにを使ってもいい「精度を上げる部署」を発足させた。これが大きなきっかけでした。それと同時に、カーナビ普及のために、車速パルスを使わない方法も考えはじめました。車速パルスを一般ユーザーが取るのは難しいですから。そこであらたに採用したのが「加速度センサー」です。これが精度向上に大きく貢献しました。

--- 加減速の動きに応じて働くセンサーですね。

黒崎 そうです。これを使えば、加速度で車速パルスを擬似的に発生させ、問題がないことを確認しました。しかも、加速度センサーにはもうひとつメリットがあることに気がついたんですね。

--- それはなんですか。

黒崎 傾斜がわかるということなんです。ほとんど真っ平のような、たとえば0.1度登っているようなところでも、加速度センサーは認識するということが実験でわかりました。ご存じのように、それまでカーナビは「一般道から高架になっている高速道」なんていう道は苦手でした。立体交差点で、上を走っているのに下を走っているように案内するとか。しかし加速度センサーをうまく使うと、この問題を解決できることが分かったんです。

--- それはすごい。

黒崎 ただこの方法では、地図の精度も上げないといけないことが分かりました。加速度センサーだけでは、常に正確を期することは難しいこともわかりました。ようするに、上か下かというデータが地図にもなければダメなんです。しかしウチには、地図を制作する子会社ありデータがとれました。データを地図の中に入れてしまって、微妙な変化を地図とハードの両方で認識させることになりました。

--- 加速度センサーが、精度を上げることにつながったというわけですね。

黒崎 最初は狙っていなかったことなんですが。いろんな要素が加味されて「パイオニア製は精度が高い」という評価をいただくようになったわけです。

--- パイオニア製カーナビの精度が高いのは、地図をはじめ「体制としてのメリット」を活かした結果なんですね。

黒崎 そうです。それに、データが違っていればいい結果を生み出せませんから、常に走ることを心がけています。ユーザーからきた情報は必ず実走行して確かめています。これも自社系列に地図会社をもっているというメリットでしょうね。昨年から全国の主要地下駐車場のデータも入れるようにしましたが、地下でも自車位置が正確に出せます。GPSが働かない場所でも、自律航法だけで正確な案内ができることがこの事実からも分かっていただけると思います。

--- 地下駐車場の通路まで対応しているんですか。

黒崎 3m〜6mに1台の精度をもっていますから、駐車場枠の場所ひとつひとつを正確に特定することもできるんです。

--- ここまでの精度の追求は、カーナビは精度が高いのが理想とするパイオニアし、その理想に向かう姿勢なのでしょうか。

黒崎 精度があるていど良くないと、正しい案内はできないですよね。画面を見て「ここらへんかなぁ」というのでは、ユーザーは不安だと思います。しかし、GW明けに発表される新モデルは「ここを曲がってください」と案内します。いままでの「まもなく右方向です」という表現から、前進させました。

--- パイオニアのカーナビはビジュアル面での充実も早くからはかっています。DVDになっていろんなデータが使用できるようになりましたが、その表現力についても他社を大きくリードしているような気がします。そのあたりの発想はどんなところからきたんですか。

黒崎 ご存じのとおり、カーナビの価格は高いもので40〜50万円します。我われはどちらかというと市販に強い会社なので、単純に地図の中を自車マークが進むものではなく、金額に見合った楽しさを提供しなければならないと考えました。見やすく、わかりやすく、きれいな地図で情報も盛りだくさん。こういった商品を作ろうと心がけました。カーナビは実用品ですが、エンタテインメント性も重視する。ここに発想の原点があるんです。純正であれば、実用一点張りで余計なものは外し、走り出せば細かな道路は消してしまうのもいいでしょう。しかしそこには楽しさが感じられないと思います。

次のページへ
Page: 2 of 3 
Page 1 of 3 Page 2 of 3 Page 3 of 3
『デイリーニュースランキング』の登録はこちら
auto-ASCIIトップページへ
[an error occurred while processing this directive]  
[an error occurred while processing this directive]