top interview by Teruo Ikehara
大きな舵取りの時期、おもしろい時期
――トヨタ自動車の豊田章男社長は「ドン底からのスタート」と表現しましたが、伊東さんは現状をどう捉えていますか。

伊東 「ドン底」とは思いませんが、大きな舵取りを行う時期と考えています。生産面では変動への対応を期間従業員さんに頼っていましたが、当面はどう従業員で対応していくか。環境面では2050年までに(温室効果ガスを)50%にするという、もの凄い数字があります。自家用車などパーソナルな商品を出しているわれわれはソリューションをしっかりやらねばなりません。

世界の経済は米国から崩れ、さらに欧州はもっと崩れるかもしれません。グローバルな商圏、経済圏の状況がどうなるのか不透明になってきており、なかなか読めません。ホンダは世界のどの地域にもヘッドクオーターを置いており、従来は各地域に「頑張って」と言えば、利益があがってきました。

しかし今は、地域で凹凸があるし、売上高も減っている。経営資源をどう生かして行くか、世界のヘッドクオーターとしての日本本社の役割が大きくなっています。ただ、色々なことができそうだし、面白くなってきたかなとも思っています。明るく前を向いて行きたい。

かつて担当したNSX
――この転換期にボディ設計で育ってきた伊東さんが就任するということに意義があるような気がしますが、いかがでしょう。

伊東 エンジン屋でない社長が出てきたから、ホンダは大きく舵を切ったとは思っていません。福井(前社長)もそう考えているだろうと思います。大事なのは、庶民の目線を見失わずに、ホンダらしさの追求を継承し、切り拓いていくことです。

まず、商品・技術で楽しいぞ、面白いぞということに突き進んで行くということ。私が(後継社長に)選ばれたのはそういうことかなと考えています。
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Page 1ホンダらしさを強めて行こう
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Page 4小さいが生業になるようなクルマが必要
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