■精度にこだわったナビ
カーナビの基本機能でありながらもっとも重要なポイント、それが精度だ。測位精度を高めるには、いかに自車位置を正確に把握できるかにかかっている。今回評価した「AVIC-H99」は、徹底的に精度にこだわって開発された製品だ。
基本的にカーナビは3つ以上のGPS衛星から電波を受けて、受信までの時間差を利用して位置を算出する。だが実際には、谷間の道や、ビル街など上空視界の狭いところで電波が反射してしまい、正確な計算ができない場合がある。こうした誤差を補正するために、マップマッチング機能(地図の道路上に強制的にマッチングさせる)などのさまざまな補正技術が開発されてきたが、完全には解消できなかった。
とくに高いビルに囲まれ、しかも細い道が入り組んでいる都市部では、わずかな誤差が命取りになる。いつの間にか一本隔てた向こう側の道路を走っていたなどという経験は誰にでもあると思う。
そこでカロッツェリアの開発陣は、とにかくナビの精度を上げることを目標にした。
まず地図データには道路の傾斜データを収録。全国都市高速、都市間高速、一部有料道路のJCT/IC、主要国道、主要地方道をカバーしている(全国約5000件分)。そのほかクルマの上下動を検出する3Dジャイロを搭載。この2つにより、たとえば一般道とその上に高速道などが並列して走っているような場合でも、そのどちらにいるのか正確に判断できるようになった。高低の位置算出はとくに難しいポイントでもあったが、これをクリアできたのである。
■車線までの識別する
これだけの精度を実現したことで、都市高速のどの車線を走行しているかも確認できるようになった。ルート設定されている場合は、分岐点の約2km手前から走行すべき車線への車線変更案内もしてくれる。
そのほか「駐車場マップ」も強化。全国主要都市109カ所の地下/立体駐車場の内部地図を収録。駐車した枠までをも正確に表示するほか、エレベーターやトイレ、料金所の位置を把握できる。
テストでは都市高速を走行してみた。途中でランプを降りると、その瞬間リルートを開始。車線の認識もしっかり行われていた。その表示も案内時にはドライバーズアングルから俯瞰アングルに視点が変わり、分岐点の全体像をドライバーに分かりやすく提示してくれた。
驚きくほどの精度と分かりやすいルート表示。このふたつがドライバーに大きな安心感を生み出すのである。
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