トーヨータイヤ OBSERVE GSi-6 × レスポンストーヨータイヤ OBSERVE GSi-6 × レスポンス

OBSERVE GSi-6

TOYO TIRES OBSERVE GSi-6 MOVIE IMPRESSIONSUV専用設計スタッドレスという真価を検証

OBSERVE GSi-6

TOYO TIRES OBSERVE GSi-6
MOVIE IMPRESSIONSUV専用設計スタッドレスという真価を検証

今やスタッドレスタイヤは様々な路面での確かな性能が求められている

これまでミニバン専用など、車種ごとに特化したスタッドレスタイヤで市場から高い評価を得てきたトーヨータイヤが、今年本格的にシリーズ展開したのがSUV専用スタッドレスタイヤである。その名は「OBSERVE GSi-6(オブザーブ ジーエスアイシックス)だ。

SUVはセダンに較べて重心が高く、タイヤサイズも大きめ。駆動方式は4WDが多いがサイズによっては2WDも決して少なくなく、しかもユーザーはクルマをアクティブに楽しんでいる層が多い。  よって重視されたのは、まずはあらゆる冬の路面に於けるハンドリング性能、そしてスタビリティの向上。イメージとしては雪山へと向かう道すがらのドライブも、思い切り楽しめる走りだ。

トーヨータイヤ OBSERVE GSi-6 × レスポンス

「OBSERVE GSi-6」はドライ、ウェット路面でのブレーキング性能にも力を入れたという。最近は冬の北海道でも日中の最高気温が0℃を上回る日は少なくない。そうなると、路面は雪が溶けてシャーベット、そしてウェットになるし、更に陽が照りつければドライにまで変化することもある。一方、ウェット路面は夜になって気温が氷点下になればアイスに様変わりするという具合で、今やスタッドレスタイヤにはアイス以外にも様々な路面での確かな性能が求められているのである。

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そんな「OBSERVE GSi-6」をジープ チェロキーに装着して冬の北海道でテストした。実際にこの道中では、まさに様々な路面に遭遇して、その真価をしっかり確かめることができたのだ。

凍って磨かれた場面でも挙動を乱さない頼もしい走り

雪の北海道の路面は本当にシビアである。特に朝方の幹線道路は、除雪はされていても路面には薄く氷が張っているようで、減速力が強過ぎたりすると、すぐにABSが介入してくる。一方で発進の際も路面を引っ掻いてしまって進路が乱れるのは、当たり前のことと言っていい。

しかも雪が降っていれば、夜中に凍った路面の上に雪が降り積もって、そこを多くの車両が通過して行くから、雪はザラ付いたシャーベット状になる。かと思えば脇道に入った瞬間、除雪されていない雪が路面に積もっていて、ザクザクとそれを掻き分けていくことに…。おかげで運転には常に緊張感が漲る。けれど、これが雪国の普通のクルマ生活なのだ。

こうした場面での「OBSERVE GSi-6」は一言、頼もしい。雪の下が凍って磨かれていた、なんて厄介な場面でも急激に挙動を乱したりせずクルマをしっかり前に進めてくれるし、ブレーキペダルに足を乗せれば、その瞬間から確実な減速感が得られ、イメージ通りに止まってくれる。

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楽しいとさえ思える確かな手応えのハンドリング性能

スノー制動性能は従来品よりも約7%向上しているという。その予感は、パターンデザインを見た時から、すでにあった。スノートラクション性能と排水性能への効果は絶大だというジグザグの4本主溝に加えて、やはりジグザグのリブ形状をもったセレーテッドスタビリティリブは、雪を引っ掻いて進むトラクションと、長いリブ形状によるスタビリティに大いに効いているという。アグレッシヴなフェイスはデザイン優先ではなく、あくまで機能に基づいているのだ。

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高速道路でも好印象は変わらない。ステアリングの中立感が明確で、実際にクルマとタイヤの直進性が高いため、路面からの入力の影響を最小限で伝えてくれるから、クルマを信じてリラックスして巡航できる。

基本は除雪されている高速道路であっても、常に雪が降り続いている中では路面が刻々と変わっていく。また、降り積もった雪が凍ってカチカチに固まっていたり、それで轍が出来ていたりというのもしょっちゅう。それだけに、まずクルマが難なく直進してくれることが、とてもありがたい。

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もちろん進路が乱れることも無くはない。けれど、そんな時も掌には今クルマがどこに行きたがっているのかが伝わってくるから、安心して進路を引き戻すことができるのだ。

高速道路では、日中になって積もっていた雪が溶け出したウェット路面も体感できた。スタッドレスタイヤにはウェット路面が苦手という印象が強いが、「OBSERVE GSi-6」は、そういう印象を過去のものにしてしまう。実際にグリップ力が高いだけでなく、グリップ感がちゃんと伝わるのがいい。

個人的に、もっとも楽しかったのが雪の降り積もった郊外のワインディングロードだ。ステアリングは常に確かな手応えを伝えてきて、切り込んでいくと中立付近からしっかりとしたグリップ感とともに正確に向きを変えていく。切り過ぎたり戻し過ぎたりが少なく思った通りのラインを辿れるのは、雪道では安心感に繋がるし、何より楽しかった。

こんな具合で今回のテストは終了。幸いにも真冬の北海道で遭遇する様々な状況、様々な路面をじっくりと試すことができたのだ。

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市場シェアが高まるSUVのユーザーは試す価値が大いにある

一言で表すならば、とても一貫性の高いタイヤだというのが「OBSERVE GSi-6」の印象である。街中のアイス路面でも、シャーベットからウェットへと変わる高速道路でも、そして分厚い積雪のワインディングロードでも、グリップ性能の高さ、優れたコントロール性を発揮するだけでなく、クルマから返ってくる反応が常に一定で、おかげで路面、天候を問わず、扱いやすさが光るのだ。

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これはひとつにはドライ、ウェット路面での性能にも力を入れたコンパウンド採用による高性能バランスのおかげだろう。ミクロの水膜も効率よく吸水する吸水カーボニックパウダー、柔軟効果を高め密着性を高めるシリカの増量、そして路面をひっかく鬼クルミ殻などからなるハイグリップシリカコンパウンドは、高い氷雪性能をそのままに、特にウェット路面でのグリップ力を高めている。

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もうひとつの要因がSUV専用設計だ。操縦安定性を高める高剛性スチールベルト&高強力キャップフライ、優れた応答性に直結する高硬度ビードフィラーといった構造に、旋回中のエッジ効果を高めるショルダーライトニングエッジ、轍で同様の効果を発揮するテーパーショルダーエッジ、氷雪路面で360°エッジ効果を発揮するスパイラルエッジサイプといった技術が相まって実現しているのは、クルマの重心の高さも絶対的な車重も意識させない一体感のある走りである。

冒頭にも記した通り、スタッドレスタイヤの使用環境は近年、ますます厳しさを増している。その中でも市場シェアのどんどん高まっているSUVのユーザーの方ならば「OBSERVE GSi-6」、試す価値は大いにある。その安心感は安全に、そして楽しさに繋がっていると言っていい。

TEXT:YASUHISA SHIMASHITA
PHOTO:TAKEO KOBAYASHI
MOVIE:JUNJI IWAMOTO
LOCATION:星野リゾート リゾナーレトマム

ナビゲーター

NAVIGATOR

島下泰久YASUHISA SHIMASHITA

1972年神奈川県生まれ。走行性能だけに留まらない、クルマを取り巻くあらゆる事象を守備範囲に自動車専門誌、一般誌、ファッション誌、webなど様々なメディアを舞台に活動。2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動運転技術、電動モビリティを専門的に扱うサイト「サステナ(http://sustaina.me)」を主宰する。近著は『2018年版 間違いだらけのクルマ選び』(草思社刊)。