2022年2月の自動運転、高度運転支援(ADAS)に関するニュースまとめ一覧

自動運転の世界は、いまどんなフェーズを駆け上がり、どこへ向かっているかーーー

そのヒントは、国内で自動運転の舵取り役を担う戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の動きを俯瞰するとみえてくる。SIPは、内閣府がリーダーシップをとり、府省庁の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより科学技術イノベーションを実現するために2014年に創設された国家プロジェクト。

2019年7月までSIP自動運転推進委員会構成員を務め、現在は国土交通省車両安全対策委員、経済産業省・国土交通省自動走行ビジネス検討会委員でもある、国際自動車ジャーナリストである清水和夫氏にSIP 第1期から第2期へと向かう自動運転分野のいま、サポカーと自動運転、物流・移動サービスとオーナーカー、安全と安心感、快適性といった、自動運転まわりのトレンドを聞く。

聞き手は、SIP自動運転推進委員会構成員でモータージャーナリストの石井昌道氏。


清水和夫氏

清水:いまニュースは、MaaS(Mobility as a Service シームレスにつなぐ新たな移動)とかトラックの自動縦列走行やロボットタクシーに注目が集まって、オーナーカーの自動運転は高額な高級車だけにある機能にみえて一般ユーザがついてこないという感じですよね。

需要や関心度としては、過疎地や物流の課題を救う手段として物流移動サービスのほうが高い。オーナーカーの自動運転フェーズはいま高速道路のなかにあって、歩行者事故の分野にはまだ至ってない。だからまだ「高速道路を行く高級車の車内でハンドルから手を離してスマホや雑誌をながめる」といったイメージしか浮かばないかもしれない。

でもね、最初は高額な高級車の自動運転技術であっても、その実現がないとレベル4へもステップアップできないし、オーナーカーがレベル3で培った技術は、物流移動サービスにも波及するから、やっぱり物流もオーナーカーも両面から進化していかないと。

石井:なるほど。では、安全と快適性について。これはどう違うのか。

清水:すでにACC(Adaptive Cruise Control)などはドライバーは当たり前のように使う機能に普及した。前のクルマにロックオンして追従していけば楽だし、最も左の走行車線を一定の速度で行くという選択もできる。そういう意味ではACCは自動車メーカーでは快適技術として位置づけられていた。で、ACCの延長線上に自動運転の技術が生まれてくるとは思いますけどね。

石井:安全と快適性のなかに、安心が入ってこないと、クルマとドライバーが共存できませんよね。

清水:これはもう永遠のテーマで、たとえばタイヤのグリップ性能とウェット性能のように、安全基準を満たしていても安心感はないという事象っていっぱいありますよね。ユーザがその製品に共感できるか否かは、やっぱり「安心かどうか」なんですよね。さらに安心なくして快適はないから、ユーザ目線でいうと安心が前提にあって、安心だから快適があって、楽しさもある。だから底辺は安心、その上に順に快適、楽しさがのる。

清水和夫氏

石井:開発現場では「開発すればするほど、壁が立ちはだかる」っていいますね。やはりレベル3はそうかんたんじゃないと。

清水:大事なのは社会やユーザが何を求めて、自動運転を手に入れたらどんな幸せがあるのか。カスタマーベネフィットみたいなところまで考えていかないと。いっぽうで、自動運転車両は高い買い物なので、スバルのアイサイトを10万円でつけるか、100万円の自動運転機能付き車両を買うかもいろいろあると想うし、駆ってくれないと技術は進歩しないし、普及しないとコストは下がらないし、と。負のスパイラルに陥っちゃう。

石井:その先はけっこう難しそうですね。

清水:高級車から自動運転レベル3が入ってきて、こんどはいかに大衆車に自動運転技術を入れ込んでいくかがカギですよね。でも日本はこれまで、軽自動車にエアバッグとプリテンショナーベルトを一気に導入させた実績を持つ国だから、「これがいいんだ!」って確信したら、オールジャパンでダーッてかなりの勢いで普及すると思いますね。

だから軽自動車側からサポカーが進化して、高級車カテゴリから自動運転がすすんでごその技術が大衆車へおりてくる。その出会うポイントがプリウスとかカローラといったCセグメントで、2024年か2025年といわれてますよね。


インタビュー全文はこちら


  • SIP cafe 自動運転ガイド
  • SIP cafe とは

    SIP cafe とは

    『SIP cafe』は直面する次世代モビリティについて考え、自動運転のいま、自動運転がもたらす未来社会について情報を発信していくコミュニティサイトとして2019年10月に開設。一方的な最新情報の発信だけでなく、広く多くの人たちが集まって議論していくための“広場”としての役割を担う。SIP cafeの主宰であり“マスター”の清水和夫氏は、「反対する意見もどんどんぶつけあって、議論していく場所にしたい」と語っている。

    » 詳しくはこちら
    1 2 > 次
ウェイモや自動車メーカーはレベル5に達しない?…独自アプローチで自動運転をめざすチューリング 画像
自動車 テクノロジー

ウェイモや自動車メーカーはレベル5に達しない?…独自アプローチで自動運転をめざすチューリング

自動運転にはSAEが定めたレベル1から5までのランク分けがある。一般的にはレベル1から徐々に機能を上げていって完全自動運転のレベル5まで到達させる開発プロセスを想像しがちだが、AI研究の視点からは必ずしもレベルの考え方がベストとは限らない。

「道の駅・みぶ」周辺を自動運転バスが実証運行 画像
自動車 テクノロジー

「道の駅・みぶ」周辺を自動運転バスが実証運行

日本工営とマクニカは2月25日、栃木県壬生町の「道の駅 みぶ」を自動運転バスで周遊する実証実験を実施すると発表した。自動運転システムを導入した路線バスを2025年度までの運行を目指す「栃木県ABCプロジェクト」の一環。

自動運転リジッドダンプカーを開発…コマツと大成建設 画像
自動車 テクノロジー

自動運転リジッドダンプカーを開発…コマツと大成建設

大成建設とコマツは2月22日、コマツ製のリジッドダンプ「1HD465」をベースに、積込機械や敷均し機械と連携しながらすべての運搬作業を自動で行う自動運転リジッドダンプ「T-iロボ リジッドダンプ」を開発したと発表した。

自動運転車の位置情報でスマートグラス内の景色が変化…お台場でAR実証を実施 画像
自動車 テクノロジー

自動運転車の位置情報でスマートグラス内の景色が変化…お台場でAR実証を実施

KDDIは、自動運転車の位置情報に連動して変化するARコンテンツをスマートグラス上に表示する「自動運転車と未来のメガネで巡るメタバースの実証実験」を2月26日より、東京臨海副都心・お台場エリアで実施する。

自動運転トラックの走行テスト、米グーグル・ウェイモが実施へ 画像
自動車 テクノロジー

自動運転トラックの走行テスト、米グーグル・ウェイモが実施へ

グーグルの自動運転技術開発部門のウェイモ(Waymo)は2月16日、自動運転トラックの走行テストを米国で行うと発表した。

ボードリー、鳥取砂丘周辺の自動運転バス実証運行を受託 画像
自動車 テクノロジー

ボードリー、鳥取砂丘周辺の自動運転バス実証運行を受託

BOLDLY(ボードリー)は、鳥取砂丘周辺の公道で実施される自動運転バス「ナビヤ アルマ」を活用した実証実験をWILLERから受託して2月17日から運行を開始したと発表した。

インテル、完全自動運転シャトル運行 2024年から米国で 画像
自動車 テクノロジー

インテル、完全自動運転シャトル運行 2024年から米国で

インテル(Intel)は2月14日、傘下のモービルアイが2024年から、自動運転シャトルの運行を米国で開始すると発表した。

自動運転をローカル5Gで遠隔監視…複数のバスを実証運行 画像
自動車 テクノロジー

自動運転をローカル5Gで遠隔監視…複数のバスを実証運行

ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構(TOPIC)と群馬大学、日本モビリティ、日本電気(NEC)は2月14日、群馬県前橋市でローカル5Gで遠隔監視して複数の自動運転バスを公道で実証走行する実験を、2月21日から27日まで実施すると発表した。

自動運転バス、1年間の安定運行…茨城県境町で1万4500km、路上駐車が激減 画像
自動車 テクノロジー

自動運転バス、1年間の安定運行…茨城県境町で1万4500km、路上駐車が激減

茨城県境町は2月8日、ソフトバンクの自動運転サービスを手がける子会社のボードリーとともに自動運転バスを1年間にわたって安定運行を達成したと発表した。

東京都心・丸の内、歩行者天国時に低速自動運転バスを走行…歩車共存の実証実験 画像
自動車 テクノロジー

東京都心・丸の内、歩行者天国時に低速自動運転バスを走行…歩車共存の実証実験

大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会(大丸有協議会)とボードリーは、大丸有地区におけるスマートシティプロジェクトとして、2月18日から22日まで丸の内仲通り(東京都千代田区)における歩車共存空間での自動運転バスの走行実証を実施する。

CASE車両の安全設計思想…「IT vs 自動車」対立構図の愚かさ 画像
自動車 テクノロジー

CASE車両の安全設計思想…「IT vs 自動車」対立構図の愚かさ

テスラのFSDが、通行に支障がなければ一時停止標識のある交差点でも徐行しながら侵入するという不具合がリコール対象となった。今後の車両開発や安全設計にも関わる興味深い課題を提起している。

自動運転レベル4以上の自動車保険を開発、システム提供者が加入 画像
自動車 テクノロジー

自動運転レベル4以上の自動車保険を開発、システム提供者が加入

アイサンテクノロジー、損害保険ジャパン、ティアフォーは2月4日、東京大学情報理工学系研究科の加藤真平准教授の研究室とともに、自動運転レベル4(限定地域での完全自動運転)以上に対応した 「自動運転システム提供者専用保険」を開発したと発表した。

アルファロメオ初のPHV、「ビートルズ」風に予告…CEO「大ヒットの準備完了」 画像
自動車 ニューモデル

アルファロメオ初のPHV、「ビートルズ」風に予告…CEO「大ヒットの準備完了」

アルファロメオブランドのジャン・フィリップ・アンパラトCEOは2月3日、ブランド初のプラグインハイブリッド車(PHV)として、2月8日に発表予定のアルファロメオ『トナーレ』(Alfa Romeo Tonale)のティザー写真を公開した。

[13秒でわかる!]自動運転でドリフトするトヨタ スープラ 画像
自動車 テクノロジー

[13秒でわかる!]自動運転でドリフトするトヨタ スープラ

「トヨタ・リサーチ・インスティテュート」は、サーキットをドリフトしながら自動運転できるように、車両をプログラムすることに成功した。『スープラ』の実験車両に搭載されたプログラムは毎秒20回、走行ルートを計算、車両のバランスを保つ。

5G・XR・AI技術で「新しい移動体験」を提供、ドコモが実証実験へ 画像
自動車 テクノロジー

5G・XR・AI技術で「新しい移動体験」を提供、ドコモが実証実験へ

NTTドコモは、車室内での「新しい移動体験」の実装をめざし、5G・XR・AI技術を活用したエンターテインメントコンテンツやオンラインツアーが楽しめる実証実験を、愛・地球博記念公園および臨海副都心エリアにて実施する。

    1 2 > 次
Page 1 of 2