2017年1月の自動運転、高度運転支援(ADAS)に関するニュースまとめ一覧

自動運転の世界は、いまどんなフェーズを駆け上がり、どこへ向かっているかーーー

そのヒントは、国内で自動運転の舵取り役を担う戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の動きを俯瞰するとみえてくる。SIPは、内閣府がリーダーシップをとり、府省庁の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより科学技術イノベーションを実現するために2014年に創設された国家プロジェクト。

2019年7月までSIP自動運転推進委員会構成員を務め、現在は国土交通省車両安全対策委員、経済産業省・国土交通省自動走行ビジネス検討会委員でもある、国際自動車ジャーナリストである清水和夫氏にSIP 第1期から第2期へと向かう自動運転分野のいま、サポカーと自動運転、物流・移動サービスとオーナーカー、安全と安心感、快適性といった、自動運転まわりのトレンドを聞く。

聞き手は、SIP自動運転推進委員会構成員でモータージャーナリストの石井昌道氏。


清水和夫氏

清水:いまニュースは、MaaS(Mobility as a Service シームレスにつなぐ新たな移動)とかトラックの自動縦列走行やロボットタクシーに注目が集まって、オーナーカーの自動運転は高額な高級車だけにある機能にみえて一般ユーザがついてこないという感じですよね。

需要や関心度としては、過疎地や物流の課題を救う手段として物流移動サービスのほうが高い。オーナーカーの自動運転フェーズはいま高速道路のなかにあって、歩行者事故の分野にはまだ至ってない。だからまだ「高速道路を行く高級車の車内でハンドルから手を離してスマホや雑誌をながめる」といったイメージしか浮かばないかもしれない。

でもね、最初は高額な高級車の自動運転技術であっても、その実現がないとレベル4へもステップアップできないし、オーナーカーがレベル3で培った技術は、物流移動サービスにも波及するから、やっぱり物流もオーナーカーも両面から進化していかないと。

石井:なるほど。では、安全と快適性について。これはどう違うのか。

清水:すでにACC(Adaptive Cruise Control)などはドライバーは当たり前のように使う機能に普及した。前のクルマにロックオンして追従していけば楽だし、最も左の走行車線を一定の速度で行くという選択もできる。そういう意味ではACCは自動車メーカーでは快適技術として位置づけられていた。で、ACCの延長線上に自動運転の技術が生まれてくるとは思いますけどね。

石井:安全と快適性のなかに、安心が入ってこないと、クルマとドライバーが共存できませんよね。

清水:これはもう永遠のテーマで、たとえばタイヤのグリップ性能とウェット性能のように、安全基準を満たしていても安心感はないという事象っていっぱいありますよね。ユーザがその製品に共感できるか否かは、やっぱり「安心かどうか」なんですよね。さらに安心なくして快適はないから、ユーザ目線でいうと安心が前提にあって、安心だから快適があって、楽しさもある。だから底辺は安心、その上に順に快適、楽しさがのる。

清水和夫氏

石井:開発現場では「開発すればするほど、壁が立ちはだかる」っていいますね。やはりレベル3はそうかんたんじゃないと。

清水:大事なのは社会やユーザが何を求めて、自動運転を手に入れたらどんな幸せがあるのか。カスタマーベネフィットみたいなところまで考えていかないと。いっぽうで、自動運転車両は高い買い物なので、スバルのアイサイトを10万円でつけるか、100万円の自動運転機能付き車両を買うかもいろいろあると想うし、駆ってくれないと技術は進歩しないし、普及しないとコストは下がらないし、と。負のスパイラルに陥っちゃう。

石井:その先はけっこう難しそうですね。

清水:高級車から自動運転レベル3が入ってきて、こんどはいかに大衆車に自動運転技術を入れ込んでいくかがカギですよね。でも日本はこれまで、軽自動車にエアバッグとプリテンショナーベルトを一気に導入させた実績を持つ国だから、「これがいいんだ!」って確信したら、オールジャパンでダーッてかなりの勢いで普及すると思いますね。

だから軽自動車側からサポカーが進化して、高級車カテゴリから自動運転がすすんでごその技術が大衆車へおりてくる。その出会うポイントがプリウスとかカローラといったCセグメントで、2024年か2025年といわれてますよね。


インタビュー全文はこちら


  • SIP cafe 自動運転ガイド
  • SIP cafe とは

    SIP cafe とは

    『SIP cafe』は直面する次世代モビリティについて考え、自動運転のいま、自動運転がもたらす未来社会について情報を発信していくコミュニティサイトとして2019年10月に開設。一方的な最新情報の発信だけでなく、広く多くの人たちが集まって議論していくための“広場”としての役割を担う。SIP cafeの主宰であり“マスター”の清水和夫氏は、「反対する意見もどんどんぶつけあって、議論していく場所にしたい」と語っている。

    » 詳しくはこちら
    1 2 3 4 5 > 次
【インタビュー】自動車からスポーツ選手まで、遠隔センシング・制御が実現する未来とは…アプトポッド坂元社長 画像
自動車 ビジネス

【インタビュー】自動車からスポーツ選手まで、遠隔センシング・制御が実現する未来とは…アプトポッド坂元社長PR

アプトポッドは、IoTクラウド基盤と通信機能を搭載したデータロガーを開発している企業だが、クラウドと独自の高速双方向通信を組み合わせ、車のセンシングと制御を統合管理できるソリューションも持っている。

自動運転農機に注目集まる…クボタの未来ショーケース 画像
自動車 テクノロジー

自動運転農機に注目集まる…クボタの未来ショーケース

クボタは1月26日に「クボタ新春のつどい」を開催。会場となった京都パルスプラザでは農機やエンジンなどをはじめとしたグループ全体の製品展示もおこなわれた。なかでも注目を集めたのは、GPSを搭載する自動運転農機だ。

Googleマップ vs Siri vs ナビタイム、音声認識だけでどこまでいけるか? 画像
自動車 テクノロジー

Googleマップ vs Siri vs ナビタイム、音声認識だけでどこまでいけるか?

自然言語処理に対応した音声認識エージェント(AI)は、これからの自動車には欠かせない機能になる。前回、その背景や理由を述べた。では、現状の音声認識技術の実装はどの程度まで進んでいるのだろうか。

自動運転の実現へ、クリアすべき課題は「音声認識」 画像
自動車 テクノロジー

自動運転の実現へ、クリアすべき課題は「音声認識」

2016年は自動運転やコネクテッドカーの話題に明け暮れた感のある自動車業界だが、この潮流は2017年も続くだろう。しかし、本格的な自動運転の前にクリアしなければならない課題がある。それはAIの音声認識、正確には自然言語処理技術だ。

【オートモーティブワールド2017】自動運転、モラルがどこまで介在するかバックキャスティング 画像
自動車 ビジネス

【オートモーティブワールド2017】自動運転、モラルがどこまで介在するかバックキャスティング

知能化技術を研究・開発する新拠点「HondaイノベーションラボTokyo」を東京・赤坂に開設するホンダ。その本田技術研究所の脇谷勉上席研究員が、V2Xから自動運転、その先のリスクやモラルについて、「オートモーティブワールド2017」特別講演の中で語った。

高齢者の交通事故防止に向けて「安全運転サポート車」…国交省や経産省など、普及促進を検討 画像
自動車 社会

高齢者の交通事故防止に向けて「安全運転サポート車」…国交省や経産省など、普及促進を検討

経済産業省と国土交通省は、「安全運転サポート車」(仮称=サポカー)の普及啓発方策を検討すると発表した。

「自動運転ルール作り」に関するシンポジウム…キーマンを集める 2月24日 画像
自動車 テクノロジー

「自動運転ルール作り」に関するシンポジウム…キーマンを集める 2月24日

国土交通省は、日米欧の自動運転車の基準策定に関するキーマンによる「自動運転の国際的なルール作りについてのシンポジウム」を2月24日に開催する。

テスラ、米当局の調査報告に声明…「自動運転に欠陥なし」を高く評価 画像
自動車 テクノロジー

テスラ、米当局の調査報告に声明…「自動運転に欠陥なし」を高く評価

米国で2016年5月、テスラ『モデルS』が自動運転モードで走行中、ドライバーが死亡する事故が起きた。米当局の「自動運転機能に欠陥なし」との調査報告を受けて、テスラモーターズが声明を発表している。

テスラ モデルS の死亡事故、「自動運転機能に欠陥なし」…米当局 画像
自動車 テクノロジー

テスラ モデルS の死亡事故、「自動運転機能に欠陥なし」…米当局

米国NHTSA(運輸省道路交通安全局)は1月19日、テスラ『モデルS』が自動運転モードで走行中、ドライバーが死亡する事故が起きた件について、「自動運転機能に欠陥はなかった」との調査結果を公表した。

HDマップ測定車の自動運転化も視野に…TomTomが独Autonomosを買収 画像
自動車 ビジネス

HDマップ測定車の自動運転化も視野に…TomTomが独Autonomosを買収

1月19日、TomTomはAutonomosを買収したことを発表した。TomTomは今回の買収で自動運転用の高精度地図データ制作のテクノロジーがさらに強化されるとしている。買収額などは公表されていない。

【オートモーティブワールド2017】シルバコ、先進運転支援システム向け半導体IPを提案 画像
自動車 ビジネス

【オートモーティブワールド2017】シルバコ、先進運転支援システム向け半導体IPを提案

シルバコ・ジャパンは1月18日、東京ビッグサイトで開幕した「第9回オートモーティブワールド/第9回国際カーエレクトロニクス技術展」に出展した。

【CES 2017】Googleの脅威が後退し、レベル3に向けた現実的な課題解決へ 画像
自動車 テクノロジー

【CES 2017】Googleの脅威が後退し、レベル3に向けた現実的な課題解決へ

クルマ側から見た今年のCESは、自動運転実現への主導権が、Googleやアップルから自動車メーカーの手に戻り、現実的な課題解決を提案する展示が目立っていた。

【オートモーティブワールド2017】トヨタ松尾主査「完全自動運転は最低限140億kmテスト必要」 画像
自動車 ビジネス

【オートモーティブワールド2017】トヨタ松尾主査「完全自動運転は最低限140億kmテスト必要」

トヨタ自動車の先進技術カンパニー先進安全先行開発部の松尾芳明主査は1月18日、「オートモーティブワールド2017」の専門セッションで講演し、「完全自動運転車を消費者に届けるまでには最低でも約140億kmの走行テストが必要」との見通しを示した。

【オートモーティブワールド2017】サイバネット、自動運転向け光学デバイスの開発を支援 画像
自動車 ビジネス

【オートモーティブワールド2017】サイバネット、自動運転向け光学デバイスの開発を支援

サイバネットシステムは1月18日、東京ビッグサイトで開幕した「第9回オートモーティブワールド/第9回国際カーエレクトロニクス技術展」に出展した。

【オートモーティブワールド2017】独dSPACE、先進運転支援の開発ソリューションを提案 画像
自動車 ビジネス

【オートモーティブワールド2017】独dSPACE、先進運転支援の開発ソリューションを提案

dSPACEは1月18日、東京ビッグサイトで開幕した「第9回オートモーティブワールド」に出展した。

    1 2 3 4 5 > 次
Page 1 of 5