2015年12月の自動運転、高度運転支援(ADAS)に関するニュースまとめ一覧

自動運転の世界は、いまどんなフェーズを駆け上がり、どこへ向かっているかーーー

そのヒントは、国内で自動運転の舵取り役を担う戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の動きを俯瞰するとみえてくる。SIPは、内閣府がリーダーシップをとり、府省庁の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより科学技術イノベーションを実現するために2014年に創設された国家プロジェクト。

2019年7月までSIP自動運転推進委員会構成員を務め、現在は国土交通省車両安全対策委員、経済産業省・国土交通省自動走行ビジネス検討会委員でもある、国際自動車ジャーナリストである清水和夫氏にSIP 第1期から第2期へと向かう自動運転分野のいま、サポカーと自動運転、物流・移動サービスとオーナーカー、安全と安心感、快適性といった、自動運転まわりのトレンドを聞く。

聞き手は、SIP自動運転推進委員会構成員でモータージャーナリストの石井昌道氏。


清水和夫氏

清水:いまニュースは、MaaS(Mobility as a Service シームレスにつなぐ新たな移動)とかトラックの自動縦列走行やロボットタクシーに注目が集まって、オーナーカーの自動運転は高額な高級車だけにある機能にみえて一般ユーザがついてこないという感じですよね。

需要や関心度としては、過疎地や物流の課題を救う手段として物流移動サービスのほうが高い。オーナーカーの自動運転フェーズはいま高速道路のなかにあって、歩行者事故の分野にはまだ至ってない。だからまだ「高速道路を行く高級車の車内でハンドルから手を離してスマホや雑誌をながめる」といったイメージしか浮かばないかもしれない。

でもね、最初は高額な高級車の自動運転技術であっても、その実現がないとレベル4へもステップアップできないし、オーナーカーがレベル3で培った技術は、物流移動サービスにも波及するから、やっぱり物流もオーナーカーも両面から進化していかないと。

石井:なるほど。では、安全と快適性について。これはどう違うのか。

清水:すでにACC(Adaptive Cruise Control)などはドライバーは当たり前のように使う機能に普及した。前のクルマにロックオンして追従していけば楽だし、最も左の走行車線を一定の速度で行くという選択もできる。そういう意味ではACCは自動車メーカーでは快適技術として位置づけられていた。で、ACCの延長線上に自動運転の技術が生まれてくるとは思いますけどね。

石井:安全と快適性のなかに、安心が入ってこないと、クルマとドライバーが共存できませんよね。

清水:これはもう永遠のテーマで、たとえばタイヤのグリップ性能とウェット性能のように、安全基準を満たしていても安心感はないという事象っていっぱいありますよね。ユーザがその製品に共感できるか否かは、やっぱり「安心かどうか」なんですよね。さらに安心なくして快適はないから、ユーザ目線でいうと安心が前提にあって、安心だから快適があって、楽しさもある。だから底辺は安心、その上に順に快適、楽しさがのる。

清水和夫氏

石井:開発現場では「開発すればするほど、壁が立ちはだかる」っていいますね。やはりレベル3はそうかんたんじゃないと。

清水:大事なのは社会やユーザが何を求めて、自動運転を手に入れたらどんな幸せがあるのか。カスタマーベネフィットみたいなところまで考えていかないと。いっぽうで、自動運転車両は高い買い物なので、スバルのアイサイトを10万円でつけるか、100万円の自動運転機能付き車両を買うかもいろいろあると想うし、駆ってくれないと技術は進歩しないし、普及しないとコストは下がらないし、と。負のスパイラルに陥っちゃう。

石井:その先はけっこう難しそうですね。

清水:高級車から自動運転レベル3が入ってきて、こんどはいかに大衆車に自動運転技術を入れ込んでいくかがカギですよね。でも日本はこれまで、軽自動車にエアバッグとプリテンショナーベルトを一気に導入させた実績を持つ国だから、「これがいいんだ!」って確信したら、オールジャパンでダーッてかなりの勢いで普及すると思いますね。

だから軽自動車側からサポカーが進化して、高級車カテゴリから自動運転がすすんでごその技術が大衆車へおりてくる。その出会うポイントがプリウスとかカローラといったCセグメントで、2024年か2025年といわれてますよね。


インタビュー全文はこちら


  • SIP cafe 自動運転ガイド
  • SIP cafe とは

    SIP cafe とは

    『SIP cafe』は直面する次世代モビリティについて考え、自動運転のいま、自動運転がもたらす未来社会について情報を発信していくコミュニティサイトとして2019年10月に開設。一方的な最新情報の発信だけでなく、広く多くの人たちが集まって議論していくための“広場”としての役割を担う。SIP cafeの主宰であり“マスター”の清水和夫氏は、「反対する意見もどんどんぶつけあって、議論していく場所にしたい」と語っている。

    » 詳しくはこちら
    韓国キア、自動運転車の公道テスト認可を取得…米ネバダ州 画像
    自動車 ビジネス

    韓国キア、自動運転車の公道テスト認可を取得…米ネバダ州

    韓国キアモーターズ(起亜自動車。以下、キア)は12月16日、米国ネバダ州から自動運転車の公道走行テストの認可を取得した、と発表した。

    ヴァレオ、独パイカー社を買収…自動運転分野でのリーダーシップ強化 画像
    自動車 ビジネス

    ヴァレオ、独パイカー社を買収…自動運転分野でのリーダーシップ強化

    ヴァレオは、車載テレマティクスとモバイル接続ソリューションの有力サプライヤーである独パイカー社の買収を発表した。

    【CES16】トヨタ、自動運転実現に向け地図自動生成システムを開発 画像
    自動車 ビジネス

    【CES16】トヨタ、自動運転実現に向け地図自動生成システムを開発

    トヨタ自動車は、自動運転の早期実現を可能にする地図自動生成システムを開発。2016年1月6日から9日に米国ラスベガスで開催される「2016 インターナショナル CES」で展示すると発表した。

    フォード、米カリフォルニア州で自動運転車の公道テスト…2016年から 画像
    自動車 ビジネス

    フォード、米カリフォルニア州で自動運転車の公道テスト…2016年から

    米国の自動車大手、フォードモーターは12月16日、米国カリフォルニア州の公道で2016年から、自動運転車(ロボットカー)の走行テストを行うと発表した。

    先読み技術の高度化に自信あり…日立オートモティブの自動運転システム 画像
    自動車 テクノロジー

    先読み技術の高度化に自信あり…日立オートモティブの自動運転システム

    日立オートモティブがこの秋公開した『Smarrt ADAS』の中には、実現間近な技術も用意されていた。特に圧巻だったのが「自動駐車システム」で、自動運転へ向けたその第一歩とも言える最新技術を体験した。

    「SmartADAS」を実現する日立オートモティブのセンサーフュージョン技術の核心とは 画像
    自動車 テクノロジー

    「SmartADAS」を実現する日立オートモティブのセンサーフュージョン技術の核心とは

    日立オートモティブ、同社の十勝テストコース(帯広市)において、2020年以降に実現する自動運転技術(レベル2)を報道陣に公開したが、同時にそれに伴う「Smarrt ADAS」関連技術として複数センサーを使ったデモも合わせて披露した。

    開催日、出席者、議事録の公開、後手に...自動走行ビジネス検討会WGで 画像
    自動車 社会

    開催日、出席者、議事録の公開、後手に...自動走行ビジネス検討会WGで

    経済産業省製造産業局と国土交通省自動車局が合同で開催する「自動走行ビジネス検討会 将来ビジョン検討ワーキンググループ」の議事録公開が遅れている。

    三井住友海上とあいおいニッセイ、自動走行実証実験総合補償プランを共同開発 画像
    自動車 ビジネス

    三井住友海上とあいおいニッセイ、自動走行実証実験総合補償プランを共同開発

    三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は、自動運転車の実証実験を取り巻くリスクを補償する「自動走行実証実験総合補償プラン」を共同開発し、12月から本格的に販売を開始する。

    ルネサス、リアルタイム画像処理を可能にする内蔵SRAMを開発…自動運転技術に貢献 画像
    自動車 テクノロジー

    ルネサス、リアルタイム画像処理を可能にする内蔵SRAMを開発…自動運転技術に貢献

    ルネサス エレクトロニクスは12月9日、自動運転技術に必要なリアルタイム画像処理を実現する、車載情報機器用SoC(システムLSI)向けデュアルポートタイプ内蔵SRAMを開発したと発表した。

    ヴァレオ、自動運転車でフランス国内一周に成功 画像
    自動車 テクノロジー

    ヴァレオ、自動運転車でフランス国内一周に成功

    ヴァレオは、同社が開発した自動運転のプロトタイプ「クルーズU」によるフランス国内一周のテスト走行に成功したと発表した。

    【G空間EXPO15】航空測量の最大手パスコ、災害支援や自動運転へ向けた技術を披露 画像
    自動車 テクノロジー

    【G空間EXPO15】航空測量の最大手パスコ、災害支援や自動運転へ向けた技術を披露

    測量・計測の国内最大手であるパスコは、測量で得た地理空間情報を様々な用途に連携させる業務に長ける。G空間EXPO15の会場では同社が手掛ける最新技術が披露された。

    日立オートモティブ、子会社2社を合併…ADASに不可欠なステアリング/プロペラシャフト事業を強化 画像
    自動車 ビジネス

    日立オートモティブ、子会社2社を合併…ADASに不可欠なステアリング/プロペラシャフト事業を強化

    日立オートモティブシステムズは、ステアリングやプロペラシャフト事業の強化に向け、子会社2社を、2016年4月1日付で吸収合併すると発表した。

    パナソニック、車載モジュール事業を子会社から移管…ADASの開発・製造を強化 画像
    自動車 ビジネス

    パナソニック、車載モジュール事業を子会社から移管…ADASの開発・製造を強化

    パナソニックは、100%出資子会社のパナソニック・セミコンダクターソリューションズ(PSCS)の車載モジュール事業を、2016年4月1日付けでパナソニック本社に移管すると発表した。

      Page 1 of 1