2013年10月の自動運転、高度運転支援(ADAS)に関するニュースまとめ一覧

自動運転の世界は、いまどんなフェーズを駆け上がり、どこへ向かっているかーーー

そのヒントは、国内で自動運転の舵取り役を担う戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の動きを俯瞰するとみえてくる。SIPは、内閣府がリーダーシップをとり、府省庁の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより科学技術イノベーションを実現するために2014年に創設された国家プロジェクト。

2019年7月までSIP自動運転推進委員会構成員を務め、現在は国土交通省車両安全対策委員、経済産業省・国土交通省自動走行ビジネス検討会委員でもある、国際自動車ジャーナリストである清水和夫氏にSIP 第1期から第2期へと向かう自動運転分野のいま、サポカーと自動運転、物流・移動サービスとオーナーカー、安全と安心感、快適性といった、自動運転まわりのトレンドを聞く。

聞き手は、SIP自動運転推進委員会構成員でモータージャーナリストの石井昌道氏。


清水和夫氏

清水:いまニュースは、MaaS(Mobility as a Service シームレスにつなぐ新たな移動)とかトラックの自動縦列走行やロボットタクシーに注目が集まって、オーナーカーの自動運転は高額な高級車だけにある機能にみえて一般ユーザがついてこないという感じですよね。

需要や関心度としては、過疎地や物流の課題を救う手段として物流移動サービスのほうが高い。オーナーカーの自動運転フェーズはいま高速道路のなかにあって、歩行者事故の分野にはまだ至ってない。だからまだ「高速道路を行く高級車の車内でハンドルから手を離してスマホや雑誌をながめる」といったイメージしか浮かばないかもしれない。

でもね、最初は高額な高級車の自動運転技術であっても、その実現がないとレベル4へもステップアップできないし、オーナーカーがレベル3で培った技術は、物流移動サービスにも波及するから、やっぱり物流もオーナーカーも両面から進化していかないと。

石井:なるほど。では、安全と快適性について。これはどう違うのか。

清水:すでにACC(Adaptive Cruise Control)などはドライバーは当たり前のように使う機能に普及した。前のクルマにロックオンして追従していけば楽だし、最も左の走行車線を一定の速度で行くという選択もできる。そういう意味ではACCは自動車メーカーでは快適技術として位置づけられていた。で、ACCの延長線上に自動運転の技術が生まれてくるとは思いますけどね。

石井:安全と快適性のなかに、安心が入ってこないと、クルマとドライバーが共存できませんよね。

清水:これはもう永遠のテーマで、たとえばタイヤのグリップ性能とウェット性能のように、安全基準を満たしていても安心感はないという事象っていっぱいありますよね。ユーザがその製品に共感できるか否かは、やっぱり「安心かどうか」なんですよね。さらに安心なくして快適はないから、ユーザ目線でいうと安心が前提にあって、安心だから快適があって、楽しさもある。だから底辺は安心、その上に順に快適、楽しさがのる。

清水和夫氏

石井:開発現場では「開発すればするほど、壁が立ちはだかる」っていいますね。やはりレベル3はそうかんたんじゃないと。

清水:大事なのは社会やユーザが何を求めて、自動運転を手に入れたらどんな幸せがあるのか。カスタマーベネフィットみたいなところまで考えていかないと。いっぽうで、自動運転車両は高い買い物なので、スバルのアイサイトを10万円でつけるか、100万円の自動運転機能付き車両を買うかもいろいろあると想うし、駆ってくれないと技術は進歩しないし、普及しないとコストは下がらないし、と。負のスパイラルに陥っちゃう。

石井:その先はけっこう難しそうですね。

清水:高級車から自動運転レベル3が入ってきて、こんどはいかに大衆車に自動運転技術を入れ込んでいくかがカギですよね。でも日本はこれまで、軽自動車にエアバッグとプリテンショナーベルトを一気に導入させた実績を持つ国だから、「これがいいんだ!」って確信したら、オールジャパンでダーッてかなりの勢いで普及すると思いますね。

だから軽自動車側からサポカーが進化して、高級車カテゴリから自動運転がすすんでごその技術が大衆車へおりてくる。その出会うポイントがプリウスとかカローラといったCセグメントで、2024年か2025年といわれてますよね。


インタビュー全文はこちら


  • SIP cafe 自動運転ガイド
  • SIP cafe とは

    SIP cafe とは

    『SIP cafe』は直面する次世代モビリティについて考え、自動運転のいま、自動運転がもたらす未来社会について情報を発信していくコミュニティサイトとして2019年10月に開設。一方的な最新情報の発信だけでなく、広く多くの人たちが集まって議論していくための“広場”としての役割を担う。SIP cafeの主宰であり“マスター”の清水和夫氏は、「反対する意見もどんどんぶつけあって、議論していく場所にしたい」と語っている。

    » 詳しくはこちら
    1 2 3 > 次
ZMP、自動運転の走行実験向けにクラウド・システム構築サービスの提供開始 画像
自動車 ビジネス

ZMP、自動運転の走行実験向けにクラウド・システム構築サービスの提供開始

ZMPは10月29日、自動運転の走行実験向けクラウド・システム構築サービスの提供を開始した。

NEXCO中日本、運転操作支援システム搭載の維持管理車両を日本初導入…自動運転技術を応用 画像
自動車 ビジネス

NEXCO中日本、運転操作支援システム搭載の維持管理車両を日本初導入…自動運転技術を応用

NEXCO中日本は10月23日、自動運転走行技術を活用した運転操作支援システムを、日本自動車研究所と共同開発、高速道路維持管理車両のトンネル照明灯具清掃車に導入すると発表した。運転操作支援システム搭載の維持管理車両は、日本初となる。

【ITS世界会議13】東京理科大と産総研デモ、カルガモ走行する隊列自動運転ロボットを披露 画像
自動車 テクノロジー

【ITS世界会議13】東京理科大と産総研デモ、カルガモ走行する隊列自動運転ロボットを披露

ITS世界会議のショーケースデモンストレーションでは、自動車技術会カーロボティクス調査研究委員会が企画した「自動運転システム」が披露された。カルガモのような隊列自動運転ロボットも登場した。

【池原照雄の単眼複眼】ASIMOの視覚や知能を生かすホンダの自動運転車 画像
自動車 テクノロジー

【池原照雄の単眼複眼】ASIMOの視覚や知能を生かすホンダの自動運転車

ホンダは先週の「ITS国際会議東京2013」で自動運転技術を初めて一般向けにデモ公開した。市街地での走行を想定した「協調型自動運転」の車両には、2足歩行ロボット「ASIMO」の視覚センサーや人工知能技術が生かされていた。

【ITS世界会議13】スバル アイサイトを軸にした自動運転のロードマップとは 画像
自動車 テクノロジー

【ITS世界会議13】スバル アイサイトを軸にした自動運転のロードマップとは

ITS世界会議にて、スバルの先進安全のとりまとめを行う人物に話を聞くことができた。スバルの自動運転へのこだわりとは?

【ITS世界会議13】金沢大学、Autonomous Vehicleによる追い越しのデモを実施 画像
自動車 テクノロジー

【ITS世界会議13】金沢大学、Autonomous Vehicleによる追い越しのデモを実施

「ITS世界会議TOKYO2013」のショーケースにおいて、金沢大学は自律型自動運転自動車(以下、Autonomous Vehicle)の成果をデモで示した。これは、自動車技術会カーロボティクス調査研究委員会が企画した「自動運転システム」で実施されたもの。

【ITS世界会議13】高齢者でも安心・安全! 超小型EV車による自動運転システムのデモを実施 画像
自動車 テクノロジー

【ITS世界会議13】高齢者でも安心・安全! 超小型EV車による自動運転システムのデモを実施

「ITS世界会議TOKYO2013」のショーケースでは、自動車技術会カーロボティクス調査研究委員会が企画した「自動運転システム」のデモンストレーションが行なわれていた。

【ITS世界会議13】ホンダの自律型/インフラ協調よる自動運転はWi-Fiを活用 画像
自動車 テクノロジー

【ITS世界会議13】ホンダの自律型/インフラ協調よる自動運転はWi-Fiを活用

ホンダが「ITS世界会議2013」でデモ公開したのは、車車間/路車間通信を併用する「協調型自動運転」と、ショッピングなどでの利用を想定した「自動バレーパーキング」の二つ。いずれも決められた枠内でのデモ走行となったが、ホンダの自動運転への姿勢を見ることができた。

ZMP、独ベンチャーと自動運転技術の開発などで協業 画像
自動車 ビジネス

ZMP、独ベンチャーと自動運転技術の開発などで協業

ZMPは10月17日、独Autonomos社と自動運転技術の開発やマーケティングで協業を開始することで合意したと発表した。

【ITS世界会議13】自動運転実装へのアプローチとシナリオ…トラックの隊列走行システムで紹介 画像
自動車 テクノロジー

【ITS世界会議13】自動運転実装へのアプローチとシナリオ…トラックの隊列走行システムで紹介

10月15日から東京ビッグサイトにて開催中の「ITS世界会議東京2013」。初日のExcutive Session「自動運転ー実用化への道のり」には自動車研究所ITSセンターの青木啓二氏が登壇した。

【ITS世界会議13】GPSを使わない自律走行技術…RoboCarに実装し走行デモ 画像
自動車 テクノロジー

【ITS世界会議13】GPSを使わない自律走行技術…RoboCarに実装し走行デモ

ITS世界会議の屋外展示場で、SLAM技術を、EVや自動運転カーなど次世代自動車の開発ベース車両である「RoboCar PHV」に実装し、走行実験のデモが行われた。

【ITS世界会議13】BMWコンパス氏「自動運転はあくまでアシスタント」 画像
自動車 テクノロジー

【ITS世界会議13】BMWコンパス氏「自動運転はあくまでアシスタント」

BMWのカウルス・コンパス車両安全担当バイスプレジデントは10月15日に行われた自動運転に関する公開トークセッションに登壇し「自動車の安全性が自動運転の一番の目的ではないと私は思う」と主張した。

【ITS世界会議13】ミシガン大スェットマン所長「自動運転で責任の移管が行われる」 画像
自動車 テクノロジー

【ITS世界会議13】ミシガン大スェットマン所長「自動運転で責任の移管が行われる」

米ミシガン大学運輸研究所のピーター・スェットマン所長は10月15日に行われた公開トークセッションに登壇し、「自動運転になった場合、最終的には何らかの責任の転換が行われると思う」との見通しを示した。

【新聞ウォッチ】台風26号関東接近、ITS世界会議の“自動運転車”も止まる 画像
モータースポーツ/エンタメ

【新聞ウォッチ】台風26号関東接近、ITS世界会議の“自動運転車”も止まる

「関東に接近する台風では10年に一度の勢力」と言われる大型で強い台風26号。伊豆大島では統計を取り始めてから最も多い記録的な大雨となり、一時は関東の沿岸にも接近したが、直撃は避けられた模様だ。

【ITS世界会議13】ホンダ、協調型自動運転など初公開 画像
自動車 テクノロジー

【ITS世界会議13】ホンダ、協調型自動運転など初公開

ホンダは10月15日から「ITS国際会議東京2013」会場に特設された屋外コースで、自動運転技術を初めてデモ公開した。この技術はバイクなどとの通信による「協調型自動運転」と、ショッピングモールなどを想定した「自動バレーパーキング」。

    1 2 3 > 次
Page 1 of 3