一時金の満額回答が固まっているトヨタ自動車は、焦点の「成果配分」(組合員平均年6万円)についても、5日までに満額の方向となった。組合側が臨時的な今年限りの要求であることを明確にしたことで、経営側も譲歩することになった。一時金と同等の扱いとなる。
大手3社のなかで、ホンダの一時金交渉(要求6.5カ月分)が難航している。03年3月期連結決算が過去最高のホンダはスンナリと行きそうだっのだが、ホンダの労使交渉での業績判断は「単独決算が基本」となるため、過去最高の要求に経営側が難色を示しているという。
春闘は3月12日の集中回答日を待たずに日産自動車が満額回答したこともあり、今週は各社の交渉がヤマ場迎える。最大手のトヨタ自動車は先週末までに、定昇相当分に当たる「賃金制度維持分」の6500円のほか、過去最高となる一時金(5カ月プラス55万円=約237万円)も満額回答が固まった。
定期昇給の見直しも焦点となっている今春闘だが、経営再建中の三菱自動車工業は13日、今年4月から約1万4900人の全組合員(一般社員)を対象に定昇を廃止する方針を明らかにした。労使が大筋で合意しており、今春闘で詳細を詰める。定昇全廃は自動車業界では初めてで、産業界でも異例の措置となる。
日産自動車労働組合は、経営側に対して2003年度の賃上げの要求書を提出した。トヨタをはじめとする大手企業の労組がベア要求を断念した中で、日産はベア1000円を要求、ゴーン社長をはじめとする経営側の出方に注目されるが、早くもベア500円で妥結するとの見通しも。
トヨタ自動車をはじめ「ベアゼロ」要求が、03年自動車春闘の特徴だが、勤続に応じて賃金があがる「定昇」の見直しも潮流となっている。ホンダは、すでに昨年10月から組合員のうち、入社10年前後の主任級の定昇を廃止、成果主義に移行した。07年度からは月次の給与が減額されるケースも出る。
自動車メーカーなど自動車総連傘下の大手労組は12日、2003年春闘の要求を会社側に提出した。集中回答日の3月12日に向け1カ月間の交渉が展開されるが、一部を除きベースアップ要求は見送られ一時金中心という交渉となる。
トヨタ自動車労働組合は、今春闘での年間一時金要求を組合員1人平均230万円前後を要求する方針だ。昨年実績は過去最高の220万円だったが、過去最高益となること見込みで、さらに上乗せを狙う。
日産自動車労働組合は、今春闘で、1000円のベア(ベースアップ)を要求する執行部原案を決めた。2月7日の代議員会で決定して12日に会社側に提出する。
日産ディーゼル工業の春闘は5年連続のベアゼロを経営側が回答した。日産自動車がベア1000円となったのにくらべ同じグループでも業績差が鮮明になった。