効果は?違いは? ライダー必須アイテム「プロテクターの選び方」をプロに聞いた…東京モーターサイクルショー2023

「プロテクターの選び方」をプロに聞いた。説明してくれたのはアールエス タイチ営業部販売促進課の高木菜央さん
  • 「プロテクターの選び方」をプロに聞いた。説明してくれたのはアールエス タイチ営業部販売促進課の高木菜央さん
  • アールエス タイチのプロテクター(東京モーターサイクルショー2023)
  • アールエス タイチのプロテクター(東京モーターサイクルショー2023)
  • アールエス タイチのセパレートタイプの胸部プロテクター(東京モーターサイクルショー2023)
  • アールエス タイチの一体型タイプの胸部プロテクター(東京モーターサイクルショー2023)
  • アールエス タイチの左右分割式型タイプの胸部プロテクター(東京モーターサイクルショー2023)
  • アールエス タイチのバック(背中)プロテクター(東京モーターサイクルショー2023)
  • アールエス タイチのブース(東京モーターサイクルショー2023)

2輪車乗車中のうち、致命傷事故となる要因は頭部の損傷が51.1%を占める。ゆえにヘルメットの正しい装着方法と自分の頭に合ったサイズ選びが大切だ。

その頭部に次いで高いのが胸部の損傷(26.6%)である。事故発生時、自車のハンドル部分や、衝突した車両の一部に胸部を強打し、心臓や肺をはじめ各臓器が致命的なダメージを受けるからだ(数値は警視庁による2017~2021年の平均値)。交差点における対4輪車との事故統計によれば、4輪車の側面ルーフエッジ部分(ドアとルーフの境目)にライダーが胸部を強打すると死亡事故に繋がりやすいという。

アールエス タイチのプロテクター。手前のものは女性用の一体型胸部プロテクターアールエス タイチのプロテクター。手前のものは女性用の一体型胸部プロテクター

胸部プロテクターは、事故時に身体が受ける衝撃値を弱める効果がある。有用性は世界的にも認められ、ドイツでは背中の脊椎プロテクターと合わせた装着が推奨されている。また日本においても、正しいヘルメットの装着と共に、胸部プロテクターの装着呼びかけ運動が日本自動車工業会を筆頭に業界全体で推し進められている。

ではその胸部プロテクター、どんな種類があって、どのように選べば良いのか。モーターサイクル用品の企画・開発・販売を行なっているアールエス タイチ営業部販売促進課の高木菜央さんに話を聴いた。

◆胸部プロテクターの形状と効果の違いとは

アールエス タイチのプロテクター(東京モーターサイクルショー2023)アールエス タイチのプロテクター(東京モーターサイクルショー2023)

「アールエス タイチでは現在、チェストプロテクター(胸部プロテクター)として大きく3タイプをご用意しています。完全分離型、一体型、左右分割式型です」

自身の体型や愛用しているジャケット形状などに応じて選ぶと良いようだが、それぞれの特徴はどこか。

「完全分離型はライディングウェア内側部分にあるスナップボタン(左右3つずつ)に取り付けてお使い頂きます。ウェアに取り付けることから脱ぎ着するだけでプロテクター効果が得られます。一体型は文字通り立体成形された一枚のプロテクターです。軽量設計(200g~)で、こちらも装着をほぼ意識することがありません。一体型には女性用もあります。左右分割型は完全分離型と一体型の良いところを採り入れたタイプです。完全分離型と同じくウェアにスナップボタンで装着したあと、左右を合体させることで一体型に近い効果が得られます」

アールエス タイチの左右分割式型タイプの胸部プロテクター。一体型とセパレートタイプのいいとこ取りだという。アールエス タイチの左右分割式型タイプの胸部プロテクター。一体型とセパレートタイプのいいとこ取りだという。

つまり選び方としては、着脱時の利便性と身体とのフィット感、そしてプロテクター効果を考慮して選択するというイメージだ。完全分離型は抜群の着脱感だが、分離した左右二枚をウェアに装着するため身体の中心部分は物理的に守られにくい。その点、一体型は強固な一枚のプロテクターで胸部全面が守られるものの、着脱には多少の手間が掛る。左右分割型はジョイント型とも呼ばれるが、完全分離型/一体型の中間的な性能をもつ。

ちなみにプロテクター装着歴28年の筆者は、一体型で脊椎プロテクターが合体したベストタイプを愛用している。幸い、その効果を試す機会に遭遇していないが、試行錯誤を繰り返しながらようやく身体にフィットしたプロテクターにたどり着けた。よって、バイクのカテゴリーを問わずライディングの邪魔にならないし、上半身を捻転させた目視による安全確認もやりやすい。

◆白バイ隊員にも採用されている「着る」エアバッグ

ダイネーゼのジャケット型エアバッグ「スマートジャケット」(東京モーターサイクルショー2023)ダイネーゼのジャケット型エアバッグ「スマートジャケット」(東京モーターサイクルショー2023)

ところでバイクにもエアバッグがある。しかも着るタイプのエアバッグだ。

「これまでも胸部をはじめ様々な部位を守るプロテクターを販売してきました。次のステップとしてダイネーゼさんのジャケット型エアバッグであるスマートジャケットの取り扱いを検討しています」と語るのは、ホンダモーターサイクルジャパン企画部の天野光太郎さんだ。

日本でダイネーゼ・スマートジャケットの販売を担当するユーロジャパン坂井貴一さんによると、「弊社では2019年より販売を始めました。MotoGPをはじめレースフィールドでの使用実績を高く評価頂きつつ、2022年12月からは、都内11方面に属する警視庁の白バイ隊員にも装着頂いています」という。

ライダーが一定の加速度を受けスマートジャケットのセンサーが危険な状態になると判断した場合、瞬時にシールド(エアバッグ)を展開。胸部のほか、鎖骨、脊椎、背中まわりを守ってくれる。執筆時現在、14万9600円と値が張るが得られる安心と安全は高いだろう。

交通事故は誰しもが避けたい。しかし、混合交通となる公道では不可抗力によって事故の当事者になってしまうことがある。胸部プロテクターはそうした万が一の際、身体を守る一助になってくれる。

《西村直人@NAC》

西村直人@NAC

クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。専門分野はパーソナルモビリティだが、広い視野をもつためにWRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席したほか、東京都交通局のバスモニター役も務めた。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)理事。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会・東京二輪車安全運転推進委員会指導員。日本イラストレーション協会(JILLA)監事。

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