『スカイライン』ファンは不満爆発? それでもスタイルは「クーペとして完璧」だった【懐かしのカーカタログ】

日産スカイライン・クーペ(CV35)
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2003年というと、今からもうふた昔、20年も前のことになる。けれどこの年に登場した多数のクルマの中で、ことデザインにかけて今も色褪せて見えない1台が『スカイラインクーペ』だ。

左がクーペ、右がセダン。クーペの塊感あるフォルムが際立つ左がクーペ、右がセダン。クーペの塊感あるフォルムが際立つ

まず2001年6月に11代目のV35スカイラインのセダンが登場。その後を追って2003年1月、日本市場でもクーペが追加された。日本市場でも……と書いたのは、2002年11月、ひと足先に北米市場へインフィニティ『G35クーペ』として投入されていたため。

セダンは1999年の東京モーターショーで登場したコンセプトカーの“XVL”を元に開発されたクルマだったが、代々セダンとクーペ(ハードトップ)は同時発売が通例だった(7代目の2ドアクーペはセダン/4ドアHTの4カ月後の発売)が、この11代目では時間差があった。

日産スカイライン・クーペ(CV35)日産スカイライン・クーペ(CV35)

実車は当時“FMパッケージ”と呼んだ、V6エンジンをボンネット内の後方に搭載したフロントミッドシップとし、前53:後47の荷重配分を実現。ドライバーは2850mmのホイールベースの中央に座るスポーツクーペドライビングポジションとし、ヒップポイントはセダンに対し65mm低い設定になっていた。

日産スカイライン・クーペ(CV35)日産スカイライン・クーペ(CV35)

そして今見ても古さを微塵も感じさせない、まさに金属のカタマリそのものといったピュアで力強く美しいスタイルが魅力だった。セダンも含めて車両コンセプトとともに生粋のスカイライン・ファンからは距離を置かれたクルマだったが、少なくとも欧州メーカーのクーペ好きの筆者の目には(贅肉が盛られた後継のV36クーペと較べたらなおさら)、欧州の香りがプンプンと漂う日本車離れしたスタイルは、フォルム、バランスなどクーペとして完璧だと思えた。

後にクーペ系はGT-Rへと発展しスカイラインとは別のクルマになったが、誤解を恐れずにスタイルの話に限っていえば、やる気満々のGT-Rに対して、ジェントルな美しさをさり気なく実現したところにおおいにソソられるものがあった。

日産スカイライン・クーペ(CV35)日産スカイライン・クーペ(CV35)

ただし当時のカタログ(写真は2004年、2005年のもの)を改めて見返すと、アート感覚の写真を多用しており、クルマのスタイルは引き立っているもののたとえばエンジンは、エンジンカバーのカットが小さく載せられているだけだったりと、これではさすがにスカイライン・ファンを納得させられなかったのでは……とも思う。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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