新型ミニバン3車種を比較:ノア&ヴォクシー、ステップワゴン、セレナ…サイズや使い勝手

トヨタ ヴォクシー(左上)、トヨタ ノア(右上)、ホンダ ステップワゴン AIR(左下)、日産 セレナ e-POWERハイウェイスターV(右下)
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2022年は「ミニバンの年」だった。特に売れ筋のミドルサイズミニバンとされる、トヨタノア&ヴォクシー』、ホンダステップワゴン』、日産セレナ』がそろってフルモデルチェンジを行った。そこで今回は、サイズや質感、使い勝手などを比較してみたい。

◆ボディサイズ、視界の良さ、運転のしやすさ

ボディサイズは横並びだが、セレナは標準ボディを5ナンバーサイズで残した。サイドウインドウの下端も低く、3ナンバーサイズのハイウェイスターを含めて、側方や後方の視界も良い。最小回転半径は、セレナは5.7mで少し大回りだ。小回り性能は5.5mのノア&ヴォクシーが最も優れるが、一番運転しやすいのは視界の良いセレナになる。

ボディサイズ(全長×全幅×全高)
ノア&ヴォクシー 4695×1730×1895[1925]mm (※[ ]内は4WD車)
ステップワゴン 4800/4830×1750×1840mm(e:HEV AIR/SPADA)
セレナ 4690×1695×1870mm(e-POWER X/XV。ハイウェイスターは4765×1715×1870mm。ルキシオンは4765×1715×1885mm)

最小回転半径
ノア&ヴォクシー 5.5m
ステップワゴン 5.4m(SPADA PREMIUM LINEは5.7m)
セレナ 5.7m

日産 セレナ 新型のAUTECH(左)とベースモデル(右)。ベースモデルは上位モデルとはフロントマスクが異なる日産 セレナ 新型のAUTECH(左)とベースモデル(右)。ベースモデルは上位モデルとはフロントマスクが異なる

◆内装の質感、操作性、乗降性

内装の質は3車とも横並びだが、セレナは少し立体感がある。注意したいのはATの操作性だ。ステップワゴンのe:HEV(ハイブリッド)とセレナは、プッシュ式などスイッチによるものだから、慣れないと操作に戸惑う。その点でノア&ヴォクシーは、一般的な方式で扱いやすい。ノア&ヴォクシーの内装は、全般的に馴染みやすい。

トヨタ ヴォクシートヨタ ヴォクシー

床の高さはノア&ヴォクシーとステップワゴンが低めに抑えて乗降性も良い。セレナはライバル2車に比べて床が70~80mm高く、サイドステップ(小さな階段)を使って乗り降りする。

◆居住性

居住性で最も差が付くのは3列目のシートだ。身長170cmの大人6名が乗車して、2列目に座る乗員の膝先空間を握りコブシ2つ分に調節した場合、3列目の膝先空間はセレナが握りコブシ2つ半で最も広く、ステップワゴンは2つ分、ノア&ヴォクシーは1つ半だ。

また3列目の座面は、セレナが最も長く、次はノア&ヴォクシーで、ステップワゴンは床下に格納するから一番短い。従って多人数乗車時の居住性が最も優れているのはセレナだ。ただしステップワゴンも、座面は短いものの、座り心地にはボリューム感を持たせた。

日産 セレナ LUXION e-POWER日産 セレナ LUXION e-POWER

◆シートアレンジ、荷室の使い勝手

シートアレンジではセレナが注目される。e-POWERルキシオンを除くとベンチシートが採用され、2列目の中央部分を1列目の間までスライドさせると、収納設備として使える。この状態では2列目の間に空間ができるから、車内の移動もしやすい。3列目の乗員が2列目に移動して、スライドドアから乗り降りできる。ノア&ヴォクシーとステップワゴンのシートアレンジは一般的だ。

荷室の使い勝手は、ノア&ヴォクシーが注目される。レバーを引くと3列目シートが持ち上がり、サイドウインドー側に押すと自動的にロックされる。3列目を簡単に格納して荷室を拡大できる。またステップワゴンは、前述の通り3列目を床下に格納できる。従って格納された3列目が荷室側へ張り出さず、荷物を出し入れしやすい。

トヨタ ノアトヨタ ノア

◆動力性能、走行安定性、乗り心地

売れ筋のハイブリッドで比べる。セレナのe-POWERとステップワゴンのe:HEVでは、エンジンは基本的に発電機を作動させ、駆動はモーターが受け持つ。そのために加速が滑らかで、モーターの特性に基づき、アクセル操作に対する反応も機敏だ。ノア&ヴォクシーは、ライバル2車に比べて動力性能が若干下がり、エンジンノイズが耳障りに感じる場面もある。

ホンダ ステップワゴン 新型(AIR e:HEV)ホンダ ステップワゴン 新型(AIR e:HEV)

走行安定性を見てみると、ステップワゴンは操舵に対する反応が正確で、腰高な印象も抑えた。ノア&ヴォクシーも悪くない。セレナは床の位置が高く、重心も持ち上がり、カーブを曲がる時にはボディの傾き方が拡大する。

乗り心地は、ステップワゴンは足まわりが柔軟に伸縮する。セレナも悪くはない。ノア&ヴォクシーは少し硬い。

◆安全装備&運転支援機能

ノア&ヴォクシーは、スライドドアが開き始めた時に車両が接近すると、その作動を止めて乗降時の事故などを防ぐ安全機能が備わる。セレナe-POWERルキシオンは、ステアリングホイールから手を離しても運転支援が続くプロパイロット2.0を標準装着したが、車両価格が479万8200円と高い。

トヨタ ノアトヨタ ノア

◆買い得グレードとおすすめユーザー

今回取り上げたミニバンは、真っ向から対決するライバル同士だから、装備や価格の割安感は互角だ。買い得グレードも、セレナはe-POWERハイウェイスターV(368万6100円)、ノア&ヴォクシーはノアハイブリッドS-Z(367万円)、ステップワゴンはe:HEVスパーダ(364万1000円)になる。全車が360万~370万円の価格帯に収まる。

セレナは3列目シートの快適な居住性とシートアレンジに特徴があり、多人数で乗車する機会の多いユーザーに適する。ノア&ヴォクシーは安全装備と運転支援機能を充実させた。乗降性や3列目シートの格納性も優れ、装備や各種の使い勝手を重視するユーザーにピッタリだ。そしてステップワゴンは走行性能と乗り心地が良い。クルマ酔いをしにくい内装設計を含めて、クルマとしての基本性能を高めた。

《渡辺陽一郎》

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト 1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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