ロールスロイス初のEV『スペクター』、「魔法のじゅうたん」のような乗り心地が進化

新しい「プラナー・サスペンション」

コーナーを検知するとダンパーを硬くし四輪操舵システムを準備

アルミ押出材とバッテリーの車両構造への一体化により剛性を30%向上

ロールスロイス・スペクター
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ロールスロイス(ロールス・ロイス・モーター・カーズ)は10月18日、ブランド初のEVとなる大型2ドアクーペ『スペクター』を欧州で発表した。ロールスロイスならではの「マジック・カーペット・ライド」を進化させた新サスペンションを採用している。

◆新しい「プラナー・サスペンション」

スペクターのテストプログラムには、極端な条件での過酷な走行も含まれている。車両の開発は、北極圏から55kmしか離れていないスウェーデン・アリエプローグで、マイナス40度の環境下で始まった。その後、南アフリカを横断して、最高気温55度の環境下でテストが続けられている。

テストの55%は公道で行われている。とくに重要な役目を果たしたのが、フランスのリヴィエラ。リゾート地のコート・ダジュールを舞台に、スペクターはデジタル技術を駆使して、「プラナー・サスペンション」のシステムを進化させることに取り組んだ。

プラナー・サスペンションは、ドライバーのインプットや路面状況に応じて、正確に反応する複数のシステムで構成されている。最新のソフトウェアとハードウェア開発によって実現したこのサスペンションは、ロールスロイスの特長のマジック・カーペット・ライドを、さらなら高みへの引き上げた、と自負する。

◆コーナーを検知するとダンパーを硬くし四輪操舵システムを準備

スペクターの高速処理能力を活用した新しいハードウェアコンポーネント群により、プラナー・サスペンションのシステムは、車両のアンチロールバーを切り離し、各ホイールを独立して動作させることで、車両の片側が道路の起伏に遭遇した時に生じる揺動を抑制する。また、路面の不整に起因する高周波振動が乗り心地に及ぼす影響を低減するという。

コーナーが近づいていることを検知すると、プラナー・システムはコンポーネントを再接続する。同時に、ダンパーを硬くし、四輪操舵システムが作動するように準備し、コーナーへのスムーズな進入と脱出を支援する。

コーナリング中は18個のセンサーによる監視を行い、スペクターが安定した走りを維持できるように、ステアリング、ブレーキ、パワーデリバリー、サスペンションの各パラメーターを調整する。これにより、ドライバーがよりリラックスして運転できるようにしている。

◆アルミ押出材とバッテリーの車両構造への一体化により剛性を30%向上

スペクターには、アルミ押出材セクションと、バッテリーの車両構造への一体化により、ロールスロイスの従来モデルより30%高い剛性を達成した。また、このアーキテクチャーの柔軟性により、フロアをシル構造の上や下ではなく、その中間に配置することが可能に。バッテリーとフロアの間に配線や空調配管のためのチャンネルを設け、その下にバッテリーを搭載することで、滑らかなアンダーフロア形状とした。これにより、低い着座位置と包み込むようなキャビンを実現するだけでなく、約700kgのバッテリーに遮音材という二次的な機能を与えることができたという。

また、スペクターには、全面的に刷新されたラグジュアリーなデジタルアーキテクチャー「SPIRIT」が搭載された。SPIRITは車の機能を管理するだけでなく、ブランド独自のアプリケーション「Whispers」とシームレスに統合され、顧客は車を遠隔操作し、専門家が厳選した話題の情報を受け取ることができるという。

今回初めて、顧客はロールスロイスのカスタマイズプログラム「ビスポーク」の注文を物理的な世界を超えて、SPIRITのデジタルアーキテクチャーにまで拡大できるようになった。ビスポークを好む顧客からインスピレーションを受けて、メーター文字盤の色を車両の内装色に近づけることができるようにした、としている。

《森脇稔》

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